企業にとって一番頭が痛いのは、自社商品の購入者が、当該商品や企業についての不平不満や悪口を言いふらすこと、すなわち、 「ネガティブなクチコミ」 ですね。
もちろん、そうした不平不満は、商品やサービス改善のヒントであり、貴重な情報ではあります。しかし、ネガティブなクチコミが拡散することよって、売上が抑制されてしまう点が頭が痛いわけです。
実際、心理学の研究によれば、人は良いクチコミよりも、悪いクチコミに対して
強い印象を受けやすく、結果として記憶にも残りやすいことがわかっています。
したがって、よいクチコミが「買う気を高める効果」よりも、悪いクチコミが、「買う気を失くさせる効果」のほうが、より大きいと言えるでしょう。
しかも、ソーシャルメディアの浸透によって、クチコミがより拡散されやすくなっている昨今、ネガティブなクチコミが持つ、
「購買意欲抑制効果」
はますます大きくなっていると思われます。
では、ネガティブなクチコミをできるだけ減らすためにはどうしたらいいのでしょうか?
購入した商品に対して不満を持った消費者は、以下の行動をどれか、または複数同時に取ります。
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1.他の商品に切り替えてしまう(ブランドスイッチ)
2.当該企業に直接苦情を言う(苦情行動)
3.不満足な経験を他人に話す(ネガティブなクチコミ)
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実のところ、何も言わず、黙ってブランドスイッチする消費者が相当数存在していて、こうした、
「もの言わぬ離反者」
こそが、企業にとって何のリカバリー策も打てない、最も頭の痛い消費者かもしれません。
さて、消費者行動の研究者、マーシャ・L・リッチンズの研究によれば、不満が小さければ、消費者は特になにもしません。多少の不満は我慢してしまうということでしょう。ただし、次回購入時は、ブランドスイッチされてしまう可能性は高いわけです。
一方、極めて大きな不満を感じた場合は、企業に対して直接的な苦情を申し立てます。その結果、なんらかの形で解決に至ることになります。(訴訟にまで発展することもありますね。)
もし、直接的な苦情に対して、企業側が迅速に、適切に対処できれば逆に満足度が高まり、「良いクチコミ」が拡散することもあります。
「ネガティブなクチコミ」が発生しやすいのは、上記2つの間のレベルです。
すなわち、人が相応の不満を感じていて、我慢はしていられない。ところが、直接的な苦情行動がとりにくい時や、企業が、苦情を軽くあしらうような態度を取るとき、消費者は、不満のはけ口として、
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2014.05.01
2014.06.01
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。