なにか製品を購入するとき、自分の「好きな色」が選べるのはうれしいもの。 ガラケー・スマホ、デジカメ、ノートPCなどでは、カラーバリエーションが豊富な機種も多く、選ぶ楽しさがありますね。
従来、カラーバリエーションは、競合製品との機能的な違いを生み出しにくい状況において、差別化戦略の最後の切り札的に展開されてきました。
しかし、現在ではむしろ、
「自分らしさを表現したい」
という消費者のニーズに対応するための
「マイナーなカスタマイゼーション」
の手法として採用されています。
さて、比較的小型の「デジタル機器・端末」のカラーバリエーションが豊富になってきた一方で、いわゆる、
「家電品」
については、従来とさほど変化がありません。
とりわけ「白物家電」と呼ばれている、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電品はその名の通り、
「白色」
が基本ですね。カラーバリエーションが提供されているのは、ほんの一握りのブランドのみです。
なぜ、大型家電でカラーバリエーションが提供されないのかという理由については、
・購入者の多くは、実際には「白色」を選ぶから。
・カラーバリエーションを増やすと流通在庫が膨らみ、売れ残りリスクが高くなる。(他の家電品やデジタル機器以上に)
という現実があります。
このため、白以外の色を選択したいという少数派は、ガマンするしかなかったわけです。というのも、大型家電は容量や重量など、機能・性能などの「仕様面」において、
「自分のニーズ」(家族数など)
に合うことが最優先であり、「色」は後回しにせざるを得ないからです。
ところが、こうした少数派のニーズに応えるサービスが浸透する兆しがあります。
ビックカメラ新宿東口店では、購入する冷蔵庫のドアなどの表面に、カラーフィルムを貼って自分の好きな色や柄の家電に仕立て上げる
「オーダーカラー家電サービス」
を今年(2012年)から開始しています。
まだ始めたばかりでそれほど実績はないようですが、他店をさんざん探して思うようなものがない客が噂を聞きつけて足を運ぶなど、認知度が少しずつ高まりつつあるとのこと。
また、香川県の
「リビングカラーズ」
(サイト名は、「ラシックカラーズ」)
http://rashic.jp/com.html
では、冷蔵庫の塗装サービスを提供しています。
家電量販店などで購入した冷蔵庫を同社に送ると、1台丸ごと好きな色に塗装してくれるというもの。塗装料金は10万円前後の冷蔵庫の場合で
約8万円
と決して安いものではありません。
それでも、ホームページに問い合わせた客のうち、約2割が注文に至り、月間20台ほどの注文があるとのこと。
注文の絶対数としては少ないとはいえ、本体価格に匹敵する塗装料金を支払っても、自分好みの色に冷蔵庫を仕上げたいという顧客が相当数存在しているというのはちょっと驚きではないでしょうか?
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。