ブリリア・ショートショートシアターに見る映画館の未来

2012.08.27

営業・マーケティング

ブリリア・ショートショートシアターに見る映画館の未来

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先週末、横浜みなとみらいにある映画館、 ブリリア・ショートショートシアター」 http://www.brillia-sst.jp/ に行ってきました。(以下「ブリリアシアター」)

ブリリアシアターは、俳優の別所哲也氏が社長を務める

「ビジュアルボイス」

が経営している、いわゆる「単館」の映画館です。

映画館のネーミングからおわかりかと思いますが、最長30分程度までの短編映画(ショートフィルム)のみを上映する

「ブティックシアター」

というコンセプトで運営されています。

ブリリアシアターに行ってみて最初に感じたのは、ロビーの心地よさです。

さほど大きなスペースではありません。しかし、革張りのソファーやテーブルがゆったりと配され、映画が始まる前、あるいは観終わった後、くつろぎながらカフェの食事や会話を楽しむことができるロビーは、映画を観る喜びをさらに高めてくれるものでした。

シアターは130席。パリオペラ座、カンヌフェスティバルホールなどにも採用されているという、フランスキネット社製のイスは座り心地が良く、贅沢な気分にさせてくれます。

上映されているショートフィルムは、1プログラム(1時間)当たり3-5本程度。小粋な作品、変な作品、わけわからない作品、多様なショートフィルムが次々と登場しますが、たとえ自分にとっては

「これハズレだあ~!」

と感じる作品があったとしても、だいたい5-15分程度で終わってしまいますから、次の作品に期待すればいい。少なくとも、短編映画祭でなんらかの賞を獲得した作品ですから最低限の品質は担保されていますので「オオハズレ」はさすがにめったにないでしょう。

さて、ブリリアシアターは、ハリウッド映画のようなメジャーなフィルムが上映される「シネコン」などと異なり、

「観たい映画を観にいく」

というものではないですね。(ショートフィルムマニアを除いて)

むしろ、ちょっとした暇つぶし、気分転換のためにサクッと気楽に出かける場所かなと。そのためには、映画自体ではなく、映画館の雰囲気を楽しめることがより大切。

その視点で評価すると、ブリリアシアターは、館内の洗練された内装や、落ち着いたロビー、贅沢なシアター内のイスといった、心地よい場づくりに成功しており、

「また来たい」

と感じさせる映画館でした。

私はメジャー作品を観るため、シネコンにも比較的頻繁に足を運んでいますが、ロビーは単にチケットを購入する場であり、観賞後にゆっくりできるスペースもありません。まあ、万人向けの映画上映が主体であり、ファミリー客も多いわけですから、効率的に客をさばくつくりになっているのも仕方がないのかもしれませんね。

次のページ「まあ自宅の液晶テレビ(そこそこ大型の)で十分かな」

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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