マーケティングで高い成果を出すためには、マーケターは、人の「感情」をより深く理解しなければならない! 私は最近、ますますこのことを強く感じるようになってきました。
私が、マーケターは人の「感情」をより深く理解すべきと感じる理由は2つあります。
ただ、この2つの理由に入る前に、そもそも「感情」とは何かについて、ごく簡単に説明しておきたいと思います。
「感情」とは、
「人、物、できごと、環境などに対する評価的な反応」
と考えられています。
ここで、‘評価’とは、
・危険(恐怖)⇔安全(安心)
・快⇔不快
・好き⇔嫌い
といった軸で、対象を位置づけ認識することです。
例えば、街中でナイフを持った人に出会ったら、
「怖い」(危険だ)
といった感情が湧き起こりますよね。
そして、あれこれ考える前に、とっさに「身構える」、あるいは「逃げる」といった行動をすばやく取ることができます。
このように、「感情」は、私たちが変化する状況に‘迅速に’適切に対応するための行動を引き出す役割を果たしていると言えます。
では、マーケターが「感情」をより深く理解すべき理由に移りましょう。
ひとつには、「感情」は商品選択の拠り所として用いられるからです。
人はしばしば、ものごとを判断するとき、
「それについて自分はどのように感じるか」
自問自答することがあります。(これを無意識で高速に行なっている場合もある)
そして、対象に対して
「良い感情」
が得られるなら選択します。
逆に、
「好ましくない感情」
が湧いたらそれを選択しない。
これは、
「アフェクト・アズ・インフォメーション仮説」
(「情報」としての感情仮説)
と呼ばれているものです。
この仮説に基づけば、私たちは、複数の競合商品から選択しようとするとき、
それぞれの商品の特徴やメリット・デメリット、口コミなど多様な「情報」を収集し、検討するものですが、
「感情」
もまた判断のためのひとつの情報として用いていると考えられます。
多くの場合、現実にもそうでしょう。例えば、極端な例ですが、
・「好き」だから買う。
・「好きじゃない」から買わない。
というのは、まさに感情のみを判断のための情報として用いている場合です。
ですから、マーケターとして消費者に働きかけ、自社ブランドを選択してもらうためには、
「商品情報」や「クチコミ情報」
を提供をするだけでなく、
「好ましい感情」
を消費者に生成させる必要がある。
そして、このためには、
「好ましい感情を生成させるためにはなにが有効なのか」
を把握しなければなりません。
となれば、「感情」そのものに対するより深い理解が必要となってくるのでは
ないでしょうか。
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2015.09.04
2016.08.09
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。