新たな製品・サービスのヒントを得る上で、消費者の「成長欲求」に着目してみてはどうでしょうか?
先日、人の基本的欲求として最も有名な、
「マズローの欲求階層説」
をご紹介しました。
このマズロー説は人の欲求を理解する上では非常に有益だと思います。しかし、ビジネスに役立つ知見を引き出すという点から見ると、もうひとつ
「ピンとこない」
ところがあると私は感じています。(おそらく、「承認の欲求」といった固めの表現のために、 製品やサービスのアイディアと結び付けにくいのかもしれません)まあ、そもそもビジネス向けに考えられた理論ではないので、仕方のないことですが。
さて、マズローよりも単純ながら、新たな製品・サービスの開発に取り組む際に、よりピンとくる理論があります。
心理学者、アルダファーの
「ERG理論」
です。
これは、人の欲求を以下の3つに大きく分類したもの。
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1 生存の欲求 Exsistence
文字通り、食欲、性欲など、生命を維持したり、子孫を残すための欲求
2 関係欲求 Relatedness
言い換えると「集団欲」です。人とつながっていたい、認められたいとった欲求。
3.成長欲求 Growth
文字通り、成長したいという欲求。詳細は後述します。
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まず、「生存欲求」とは、とにかく生きるために必須のものを求めることですから、解説は省略します。
2番目の「関係欲求」は、群れをつくり集団で行動することが本能となっている社会的動物である人間にとって、やはり極めて重要な欲求です。
人は、孤独でもなんとか生きることはできますが、生きる「意味」を見出す上で、他者との関係性をつくり、維持することが心身の健康の上で必要だからです。
ソーシャルメディアは、関係欲求を充足する上で大きな役割を果たしていますね。
現代文明の進展は人間関係の希薄化や分断化を招く結果となっているので、
「関係欲求」
を充足してくれる製品・サービスに対する需要はますます高まるでしょう。
そして3つめの「成長欲求」は、
「身体」や「頭脳」
をより強く、より賢くしたいという欲求だと言えます。
ではそもそも、
「成長」
とはなんでしょうか?
端的に言えば、私たちは
成長することで「生き残り」に有利になる
ということです。
ここで、生き残りとは、
「環境適応」
と言い換えてもいいです。
例えば、子供のうちは体が小さく、病気などに対する抵抗力が弱いものです。しかし、体が大きくなる、つまり身体が成長するにつれ、病気に対する抵抗力も高まり、長生きできる率が高まる。
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2015.07.14
2015.07.21
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。