先日、高橋俊介氏(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授)のお話を夕学五十講@丸ビルにて、久しぶりにお聴きしました。 高橋氏は、「人材・キャリア論」の第一人者として有名ですね。
私が高橋氏の話を聞くのは、今回で通算10数回目といったところ。社会・経済・雇用環境の変化に応じて、常に最先端の研究に取り組む高橋氏のお話は、毎回刺激的な内容です。
さて、今回のお話のうち最も心に残ったのは、
・普遍性の高い学びをしよう!
という指摘です。
現代は、想定外の変化が次々と起こっています。がんばって身につけたスキルがすぐに陳腐化してしまう。
もちろん、今の仕事環境に適応するために、そうした表面的なスキルも必要です。
しかし、そのスキルが必要とされなくなる事態に直面したとしても、新たな仕事を見つけキャリアを継続できるためには、
「普遍的な学び」
を普段から行なっておくべきだと高橋氏は主張しているのです。
では、「普遍的な学び」とはどういうものでしょうか?
それは、ものごと・現象の「原理」、すなわち
「基礎理論」や「歴史的背景」
を学ぶことです。
具体的には、例えば物理学、生物学といった
「自然科学系」
の学問分野に取り組むこと。
また、社会学、経済学、政治学などの
「社会科学系」
の場合は、自然科学のような、数式で明確に定義できる理論が少ないため、その各分野が、どんな理論から出発して、どのような変遷を遂げてきたかという
「歴史的背景」
を含めて学ぶことです。
そもそも、「○○学」と呼ばれるものは、ものごと・現象の構成要素や関係性、法則性を
「理論」
として体系化したもの。
つまり、表面的ではない、
原理・基礎理論
を知ることができるものです。
そして、単なるスキルと異なるのは、状況が異なっても応用が利くことです。
すなわち、普遍性の高い学びができるということ。だから、状況が変わり、今のスキルが用無しになってもなんとか適応できるというわけです。
ただ、日常の仕事現場では、今のスキルを使って仕事をまわすのに精一杯でしょう。したがって、仕事そのものの背景や意味を考えるような普遍性の高い学びはなかなかできません。
だからこそ、仕事の時間以外を使って、積極的に普遍性の高い学びを行なう必要があります。
私たち日本人は、どちらかというと、
「実践・経験」
を重視する一方で、原理・基礎理論を
「机上の空論」
と考えて、軽視する傾向が強いように思います。
まあ、20世紀までは、実践に基づく
「経験則」
でもなんとか通用したかもしれません。
しかし、現在はあらゆる分野が、より複雑化し専門分化しているため、
「やればなんとかできるだろう」
という精神論では、グローバルな競争にはなかなか勝てない。
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2016.04.15
2018.07.26
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。