パナソニック、シャープの決算に続き、上場企業23社が赤字を計上する現代。どこに日本は突破口を見出せばいいのでしょうか?
最近、いろんな人と会い、多様な場に参加する中で感じている感覚がある。
崩れる。
という感覚だ。
「杞憂」という言葉は、その昔、杞国の人が「天が崩れ落ちてくる」と憂いたことから来ているが、今回はできれば杞憂で終わって欲しい。それを端的に表現してくれたのが仏紙の社説だ。
11月3日、フランス紙「ル・モンド」が1面の社説で、日本が政治・経済両面で衰退していると警鐘を鳴らした。
社説は、日本の自動車、電子機器産業が世界進出した1970年代と比較し、
「最近の日本は沈滞したニュースばかり」と指摘。
電機大手シャープやパナソニックが業績予想を大幅に下方修正したことや、尖閣諸島を巡る日中関係の悪化で、中国での日本車の販売が減少したことを列挙。
その上で、
「経済の停滞、高齢化、技術革新の能力衰退だけでなく、政治が果てしなく弱体化している。 日本政治は国難に直面し、どんどんマヒしているようだ」と評価。
中国が台頭する今、日本は新たなモデルを見いだす必要があると論じている。
新たなモデル、何か想像つくだろうか?
パナソニックは20年間分の純利益に相当する赤字をこの2年で出し、株価は暴落。津賀社長は会見で、「われわれはデジタル家電分野の負け組」と述べ、グローバル競争での完敗を認めた。
同じく過去最大の赤字を計上したシャープでは、経営陣の不協和音から希望退職者が2,000名に上り、業績低迷に歯止めが掛からない。
日本の大手電機メーカーは、あと数年で潰れるかも知れない危機に直面している。
尖閣問題などに起因する「日本製品に対するニーズの減少」、
「デフレ長期化による価格競争の激化」により赤字は拡大する一方。
構造的な問題である以上、この傾向はしばらく続く。
今年、国が力を入れたエルピーダメモリが倒産したが、
上場企業23社にも赤信号が灯っている。
◆13年3月期(通期)に最終赤字の見込み
[社名] [赤字額]
パナソニック 7650億円
シャープ 4500億円
ルネサスエレクトロニクス 1500億円
東北電力 1000億円
コスモ石油 740億円
神戸製鋼所 600億円
東京電力 450億円
戸田建設 385億円
日本板硝子 270億円
商船三井 240億円
第一中央汽船 190億円
セイコーエプソン 150億円
東京製鉄 150億円
ミツミ電機 125億円
石油資源開発 116億円
日立電線 90億円
北陸電力 70億円
◆12年9月期(中間期)に最終赤字
九州電力 1495億円
関西電力 1168億円
北海道電力 486億円
ソニー 401億円
任天堂 280億円
LIXILグループ 110億円
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2009.02.10
2015.01.26
石山 喜章
株式会社CCO 代表取締役
【心を経営する。チーフ・コミュニケーション・オフィサー】 人間力・人間関係力向上させる企業研修&経営コンサルティング ライブドアにおける600名規模のメディア事業の立ち上げ、M&A後の事業統合、社内紛争の解決など、豊富な経験をもとに、北海道大学、明治大学、埼玉大学、関西大学、BBT大学、人事の大学などにて、講師、審査員などを務め、本質深くに迫るアプローチには定評がある。