ビジネスマン、特に経営層がFacebookを使うことの危険性を指摘し、ソーシャルネットワーキングサイトと私たちの将来を予想する。
・秘密暴露ゲーム
以前、アメリカ人と話していたとき、「MySpaceによって将来の大統領選は成立しなくなる」といっていた。3年前のことだ。MySpaceとはアメリカで当時大流行していたSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)だった。
なぜ大統領選が成立しなくなるのか? 「誰だって若いころはクスリでラリったりとか、女性と関係をもったことを自慢げに語るだろ。多かれ少なかれ、若気の至りってのはある。これまでは、誰も他者の過去はわからなかった。だけど、これからは自分の過去がしっかりとサーバーに記録されているんだ!」。そう、しかも本人の自発的な書き込みによって。
対立候補のネガティブキャンペーンをやろうと思えば、どんな候補者だってすぐに過去の悪行を暴くことができる。どんな品性高潔な人物だって、20年をさかのぼれば、浮気・暴行・賭博・クスリ・暴言・品性下劣などの行動が一つや二つはでてくるだろう。そんなことが暴かれつづければ、アメリカ国民は誰に投票すべきかわからないという。「だから大統領選は崩壊する」と。彼の予想が正しいかどうかは、現在の高校生・大学生が大統領候補になっている20年後にわかるだろう。
ところでこの記事の読者は、自身のソーシャルネットワーキングサービスへの書き込みが、20年後に読まれたとして品位を保てるだろうか。読者が20年後に部長か取締役になっていたとして、新入社員から「部長も若いころは、お局(おつぼね)のアケミさんと懇ろだったんですね」と笑われてしまっては、威厳も貫禄も消滅するに違いない。
そして私がアメリカの友人から話を聞いた3年後、いまではFacebookで猫も杓子もこぞって自らのプライバシーを晒すようになった。Facebookよりもmixiの優位性が続くだろう、といわれていたときが懐かしいくらい、日本人もFacebookで自分自身の情報を投稿しつづけている。
・Facebookと税務当局
とりあえず、私はFacebookの株価がどうなるとか、マークザッカーバーグの資産がいくらだとか、Facebook広告の投資対効果がどうだとか、セキュリティの脆弱性があるとか、それらについて興味はない。もちろん、Facebookのセキュリティに問題があると困るけれど、フリー(無料)である以上はFacebookを責め続けるわけにもいかず、諦観のうえで使用する必要はあるだろう。
それよりも私の興味関心は、Facebookがいかに税務当局から使用されるかにある。私が見ていて、あまりに「危なっかしい」Facebookユーザーがいる。会社の役員クラスであるにもかかわらず、私生活を公開しすぎなのだ。たとえば外車で遊びまわる写真をアップロードしている。レストランでの豪奢なそぶりを、笑顔とともに公開している。
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2012.12.01
2012.12.01
未来調達研究所株式会社 取締役
大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。未来調達研究所株式会社取締役。コスト削減のコンサルタント。『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)など著書22作。