これから「仕事人生」という大海原に漕ぎ出でんとする新社会人に3つのメッセージを贈ります。
2013年春、社会に出て新しく職業に就くみなさんおめでとうございます。その門出を祝して次の3つのことを書きます。
1)「楽しい」仕事があるわけではない
仕事に「楽しさ」を見出せる人間がいるだけだ
2)12年経ってわかる答え
3)将来が見えないことを不安がる必要はない
大事なのは“心のベクトル”を持ち、機会をつくり出すこと
◆そうじ仕事はつまらないものですか?
私は企業内研修の実施を仕事にしています。そのプログラムのひとつとして、入社3年目~5年目の若年層社員を対象にした『プロフェッショナルシップ研修』というのがあります。「プロフェッショナルシップ」とは私の造語で、一個のプロであるために醸成すべき基盤意識をいいます。そんな種類の研修ですから、受講者の働く意識の持ちようをよく観察することができます。入社3年目ともなると、自分の仕事にモチベーションを高く持ってぐんぐん成長している人とそうでない人の差がはっきりと出てきます。
仕事への意欲が上がらない人の多くは、仕事のつまらなさ、きつさ、やらされ感、未来への閉そく感を口にします。「能力適性と配属のミスマッチ」という便利な言葉で、「ここは自分のいる場所じゃない!」「(いまの仕事が面白くないのは)会社や上司の人の活かし方に問題があるからだ」と決めつけにかかる人もいます。そんな場合に私が伝えているメッセージは次のようなことです。
あらかじめ「楽しい」仕事があるのではない。
仕事に「楽しさ」を見出せる人間がいるだけだ。
極端な例ですが、あなたがもし、そうじ係のような仕事を1年間任されたとしましょう。その任務をどうとらえてやり抜くか。それはあなたの心持ちによって決まります。確かにふつうに考えれば、そうじの仕事は単調でつまらないように思えます。しかし、この一見つまらないそうじの仕事も、心持ちひとつによって劇的に変わるものなのです。昨今話題になっている『新幹線お掃除の天使たち』(遠藤功著、あさ出版)という本を読んでみてください。
この本は、新幹線車両の清掃会社である鉄道整備株式会社の清掃員の仕事の様子をまとめたものです。7分間という停車時間内で車両をピカピカにする清掃員たちは、まさにそうじを究めたプロフェッショナルです。
たいていの人が好きにはなれない清掃の仕事。労働環境も決してラクなものではありません。しかし、そんな仕事の中にも無限の可能性があり、自分に喜びと誇りを与えてくれるものであることを彼らは教えてくれています。
次のページ◆日本一の下足番になれ
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2009.10.27
2008.09.26
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。