大切なのは「様々な事象の中にある真理のようなモノを見極める」能力なのです。 コンサルタントも同じような仕事です。
コンサルタントをやっていると「他社事例を教えてほしい」とか「先進事例を教えてほしい」と言われることがよくあります。
しかし一方で事例の話をすると、「それは我々の置かれた状況とは程遠いので参考にならない」とか「他業界の事例なので参考にならない」と言われることもよくあります。特に先進的な企業の事例については「我々はそこまで進んでいないからね。」とか「やはりトップダウンが利くところは違うね。」というような反応もよくあります。
先日もある機会でグローバルでの先進事例をご紹介いただく機会がありました。
数人の方から同様の反応を聞きました。私はすごく感銘を受けましたし、他社とは異なったユニークなやり方など興味深い内容も多くありました。
このような反応は尤もかもしれません。
しかし考えてみてください。自社と全く同じシチュエーションの企業なんて存在しません。また業種も購入しているモノも違うわけですし、部門の体制や人数も違うわけです。もし違うから参考にならないというのであれば最初から聞かなければいいのです。いつまでたっても違いから学べず自分の甲羅に閉じこもってマネジメントが悪いから・・」「地位が低いから・・」と他責にとどまっているのであれば学ぶ意味はありません。
「学問(がくもん)とは、一定の理論に基づいて体系化された知識と方法」です。(広辞苑より)
つまり様々な事象の中にある真理のようなモノを見極めてそれを体系化して一般化して学ぶものです。
大切なのは「様々な事象の中にある真理のようなモノを見極める」能力なのです。
コンサルタントも同じような仕事です。
様々な事例や実績、その時は分からなかったがとても効果的な取り組みがあったとしましょう。その効果的な取り組みには何らかの上手くいった理由があるのです。その上手くいった理由が真理のようなモノなのです。その真理を見極めるだけでなく一般化(真似できるように)して多くの企業に展開していく(やり方を指導し、定着させていく)、それが我々の仕事です。このように考えると全ての事例や事象には「学ぶべきモノ」があるのです。それは先進事例や成功事例だけでなく失敗事例も同様です。そこから何を見極めるか、その見極める技術こそが多くの改革推進者に求められるスキルなのではないでしょうか?
10年前から調達・購買・資材でコンサルタントをしていて、その当時はカテゴリマネジメントの重要性を語る人は殆どいませんでした、今は常識です。タテヨコのマトリクス型組織体制についてもそうです。もっと言えば戦略ソーシングという概念も今は常識ですが、その当時は概念すらありませんでした。このような事を並べるときりがありません。
事象や事例を単に聞くだけではなく、そこから真理のようなモノを見極める能力を研ぎ澄ますには、まずは多くの事象や事例に触れることが大切です。
またその多くの事象や事例の真理が何かを考える機会も必要です。
また真理らしきモノが何となく理解できるようになったら、それを試してみる機会も必要です。私はこの能力は機会を持つことでしか養うことができない力であり、逆に多くの機会を自ら作りださないと学ぶことができないことだと考えます。
優秀な方の共通する特性は同じ機会からより多くのことを学ぶ能力を持っている
ことです。またこれらの方は質問をしたり、人の話を聞くのが上手いです。
一方でこの「真理のようなモノを見極める能力」や「事例から学ぶ技術」を身に付けるためにはそれを身に付けてやろうと「意識する」ことから始まるのは間違いありません。
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。