後だしジャンケンと癒着の排除

2013.04.05

経営・マネジメント

後だしジャンケンと癒着の排除

野町 直弘
調達購買コンサルタント

「後だしジャンケン」とは、入札や相見積りの後にバイヤーの顔色を窺いなが、より安い価格を提示する(良く言えば「見積見直し」です)ことで、バイヤーにしてみれば「だったら最初からその価格で見積出せよ!後だしジャンケンするな」という時に使います。

以前も触れましたが今回は「後だしジャンケン」について書きます。

「後だしジャンケン」とは、入札や相見積りの後にバイヤーの顔色を窺いながら、より安い価格を提示する(良く言えば「見積見直し」です)ことで、バイヤーにしてみれば「だったら最初からその価格で見積出せよ!後だしジャンケンするな」という時に使います。

「後だしジャンケン」は一種の「ズル」であり、子供社会で言うと「ズルイ」奴ということになります。「ズル」ととらえると先ほどのは売り手側の「後だしジャンケン」の事例でしたが、買い手(バイヤー)の「後だしジャンケン」もあります。
これは「競合見積り」や「入札」などをやって正式な見積を入手した後に、ある特定のサプライヤに発注する(決定する)ためにネゴっちゃうことです。私はバイヤーの「後だしジャンケン」は勿論やるべきでないと考えます。ある時点を境にしてバイヤーはサプライヤとの付き合い方を全く変える必要がありますので、ある時点以降のジャンケンは禁止すべきだと考えます。

「ある時点」とは「サプライヤ、価格決定時点」であり、付き合い方を変えるというのは「競合」→「協調」への転換です。これは何も勝ったサプライヤに対してだけではありません。失注したサプライヤに対しても協調関係を保持できるようなケアをし、次回の案件でより頑張ってもらうように付き合わなければならないのです。
そういうことからバイヤーは少なくとも「説明責任」を果たすべきです。
「何故失注したのか?」をサプライヤ各社に説明し理解してもらう。その上で今後も良好な関係を保つことができるようになるのです。「説明責任」を果たすことはつまり説明不可能な「ズル」はできない訳です。

一方で売り手側の「後だしジャンケン」にはどのように対処すべきでしょうか?特定の領域で絶対的なシェアや競争力(があるという自信を)持つ企業によく有りがちなことですが、バイヤー企業の社内での評価や提案、社内承認がほぼ終わった段階で「こんな筈はない」と言ってくる企業が少なくありません。また、また単に担当レベルで言ってくるだけでは良いのですが、上から圧力をかけてソーシング決定をひっくり返そうという企業もあります。こういうサプライヤは「最後はうちに決まるだろう」という慢心があることが多いです。

「だったら最初から真面目にやれ」と言いたいところですが、このようなケースに対してはどのような対処をすべきでしょうか。ここでもキーワードは「説明責任」です。まずは向こうの言い分を聞きましょう。聞いた上でこちらの決定について理解が得られるまで説明することです。説明の中には中長期的なサプライヤ戦略を含めるのもよいでしょう。例えば「今回は残念ながらQとCが劣り契約に至りませんでしたが、今契約を踏まえてX年後には再度見直しを行う予定です。その時には新しい技術やソリューションの提案や他社での先進事例を紹介してください。」というようにです。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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