神田昌典さんの初期作品はなぜ魅力的なのか。「非常識な成功法則」をサンプルにした言語分析。
私がそうであるように、神田昌典さんの初期作品に魅了されてしまうひとは多い。私は神田さんのご著作をすべて読んでいる。そのなかでもやはり初期作品(具体的には「非常識な成功法則」「あなたの会社が90日で儲かる!」「小予算で優良顧客をつかむ方法」などだ)の衝撃は圧倒的だった。
もちろん神田さんの魅力は、DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)やらの内容にある。また、海外知識をまっさきに紹介した先見性にあることは疑い得ない。また、そのような評価や感想はたくさんあふれている。
ここでは自分自身へのメモの意味も込めて、私にとって興味のある、ご著作の使用単語や構成について記しておく。あくまでもこれは言語分析として行ったもので、私的なものだ。
私はいくつかの書籍を分析したものの、ここでは「非常識な成功法則」をとりあげたい。2点をあげる。
1.それまでになかった独特の言葉(単語使い)
「非常識な成功法則」は56,283の単語が使われている。これは総語数であり重複を含む。そのなかで、特徴的なのは次のとおりだ。
①名詞トップ5
自分:227回
お金:185回
目標:141回
習慣:89回
お客:85回
驚くのが「自分」「お金」「目標」の登場回数の多さだ。神田さんはもちろん偽悪的に書いているが、(それ以前の類書を同じく分析すればわかるとおり)成功法則を語るものは、社会全体の幸福度を上げるだとか、他者の満足度を上げることを考えれば良いとするものが多かった。しかし、「非常識な成功法則」での主体はあくまで自分であり、お金を目標に設定し、そこまでの最短距離を考えることのみに特化している。ちなみに、私はこの考えに賛成でも反対でもなく、繰り返すと神田さんは偽悪的に書いていることはあらためて注意せねばならない。
②サ変名詞トップ5
成功:217回
営業:66回
実現:60回
意識:52回
質問:49回
③副詞トップ5
本当に:39回
実際:16回
ワクワク:14回
極めて:14回
別に:12回
「本当に」「実際」を使うことで、現実的かつ具体的な成功ステップであることを強調している。かつ「ワクワク」という副詞が多用されるのも面白い(これもそれまでの類書と比せばいい)。愉しさ=感情に訴えるのも特徴的だった。
④動詞トップ5
思う:113回
持つ:89回
書く:81回
言う:77回
聞く:70回
⑤形容詞トップ5
悪い:33回
多い:25回
新しい:24回
欲しい:24回
楽しい:11回
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2009.02.10
2015.01.26
未来調達研究所株式会社 取締役
大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。未来調達研究所株式会社取締役。コスト削減のコンサルタント。『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)など著書22作。