多くの組織を見てきて、本当に良いチームは少ない。 そして、多くのリーダーがチーム創りに悩んでいる。 「チーム創りに不可欠なものは何か」について連載していく。
とても皮肉はタイトルですが、周りを見渡しても外的要因に頼らず目覚しい業績やエネルギーを感じるチームは少ない。
なぜ、こんなにマネジメント論やリーダーシップ論が持て囃されているのに、良いチームは生まれないのか?
今回は成功要因ではなく、これがなければ失敗する要因に目を向けてみたい。
◆課題提起
1)求心力がない
物理的に同じ場所にただ無目的に集まった人たちをチームとは呼ばない。ただの集団である。
チームには人々をひとつにする求心力が必要である。
最も分かりやすい求心力はチームビジョンである。
例えば、やりたいことを持っている人が自分のやりたいことや価値を説明し、「一緒にやりたいひと、この指とまれ!」と言う。そして、そのビジョンに共感した人がその指にとまる。これが、最もシンプルなチームの成り立ちである。
しかし、一般の企業組織においてビジョンは自前のものではなく、他者から半強制的に与えられたものが多い。したがって、ビジョンが求心力になるのは希である。
さて、では、何を求心力とするのか?
もうお分かりだと思うが、そのためにリーダーが居るのである。
リーダーが求心力を持たなければ、その組織は単なる集団であってチームではない。
では、求心力を創り出すためにどうするのか?
その処方箋は、是非、お考えいただきたい。
***ここでの集団の特徴とチームの特徴を簡単に上げる***
集団は、個人主義が顕著で、人数が増えるほど一人あたりのパフォーマンスが下がることである。
チームは、チーム目標に対してメンバーの多様性が活かされ、シナジー(チーム力)によって高い成果を生み出せることである。
◆一つの考え方として
求心力を生み出すための処方箋の最も重要な要素は「自己開示」である。
求心力の形はリーダーの人間性によって様々である。しかし、求心力を生み出せないリーダーには、こうでなければならないという考えが強すぎるため、結果として自分には到底真似のできないリーダー像を参考にしている。或は自分にはリーダーは務まらないと過度に卑下してしまい始めからリーダーシップを手放している。
重要な事はリーダーの理想像ではなく、自分をさらけ出し、心から部下を支え、部下から支えられる関係性である。
それは、どのような人間性であっても腹さえくくれば創れるものである。
そのことに気づけば、見るべきはどこかの偉い経営者でもなければ、歴史上の人物でもない。目の前の部下や仲間である。彼らと本気で向き合う気構えがなくて求心力も良いチームも創れるはずがない。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。