HEYAZINEは、管理物件・元付け物件だけを掲載する賃貸不動産ポータルサイトである。賃貸360°の開発者が、なぜHEYAZINE開発に至ったかを紹介する。
HEYAZINEは、管理物件や元付け物件に限定して、賃貸物件を掲載する不動産ポータルサイトである。
僕は、賃貸360°という不動産ポータルサイトも開発・運営しているが、HEYAZINEはそのリソースを使うことなく全く新しく開発したポータルサイトだ。
なぜ、HEYAZINEは、賃貸360°の拡張ではなく、新しい取り組みとして開発されたのか。「管理物件や元付け物件に限定した物件掲載」とは、通常の物件掲載とは何が違うのか。
不動産賃貸の仕組みを簡単に説明しながら、HEYAZINEのやろうとしていることが賃貸360°ではできなかったことであり、不動産の流通構造を変えるような、野心的な取り組みであることをご紹介したい。
※この記事は、2013年6月10日にHEYAZINEに掲載された記事をINSIGHT NOW!向けに書き直したものです。
非効率な不動産流通が、当たり前になっている
通常、僕たちが賃貸物件を借りるときは、物件の所有者であるオーナーから直接部屋を借りるのではなく、不動産会社を通して借りるのが一般的だ。
オーナーは、部屋を借りてくれる人を見つけられなかったり、契約手続きや家賃の集金が大変だったりするので、そういった面倒な手続きを専門家である不動産会社に依頼している。
それでは、その不動産会社が僕たちに部屋を紹介しているかというと、実はそうでないケースが多く、実際に部屋を紹介してくれたり、案内してくれたりするのは別の仲介会社であることが多い。
オーナーから物件の管理を任された不動産会社を「管理会社」と呼んでいるが、管理会社はさらに「不動産仲介会社」に客付けを依頼して、この仲介会社が僕たちに部屋を紹介しているのが、現在の一般的な賃貸物件の流通構造である。
さらに、「物件情報の流通」という観点から言うと、仲介会社も店舗を構えていればお客さんが飛び込んでくる時代ではないので、ポータルサイトなどに物件情報を流通させて、それが部屋探しをしているユーザに届いている。
このように、物件がオーナーから僕たちに届くまでには、2層3層のレイヤーを経なければならず、これらのレイヤーを経るたびに何らかのマージンが発生しているので、それが賃貸物件を借りる際の初期費用や賃料に跳ね返っているのである。
このことは、コスト面での不利益があるだけでなく、階層を経ることで情報が不正確になったり、タイムラグが発生したりして、物件を探す際に正しい情報が得られない、といった弊害を引き起こしている。
このような非効率な不動産流通に対して、管理会社とユーザを直接つなげて、情報の正確性の向上や、無駄なコストの削減を実現しようというのがHEYAZINEの目指すところである。
次のページ流通構造を変えることで業界を活性化させる
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2015.07.30
2017.12.06
株式会社インフォアスリート 代表取締役
1976年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修了。ERP導入コンサルタントとして、企業の基幹システムの導入に携わる。その後、独立して株式会社インフォアスリートを設立。