営業の世界は現実的には泥臭く、気合と根性はある程度必要です。が、成長には気合と根性だけではダメです。ちょっとした科学的マネジメントを取り入れるだけで、気合と根性に大きな武器が加わるのです。 今回の投稿ではそのちょっとしたマネジメントの工夫として、2つのマネジメント手法に関して解説します。
■ 受注管理から見込管理へ
営業の醍醐味は、なんといっても「あいつが大型商談を受注したらしいよ。さすがやる時ははやるな」と受注に対しての賛辞です。しかもその受注によって当初はその企業や部門が計画未達予想を覆すような受注だったりすると、その賛辞は大変なものになり担当営業はヒーローになります。
こういう営業の社風が残っている企業では、営業マンは自分の商談状況は極力隠します。最低限の固い案件だけを通常の営業会議では報告し、やわらかい案件は隠そうとします。一発逆転の大型案件などはもっての他です。営業人生での最大の賛辞を得られるチャンスなのです。あらかじめ報告しておくことはその賛辞の大きさが軽減されるようなものです。まさしく一発逆転するからこそヒーローになれるのです。
しかし、これは本当に企業にとってあるべき姿でしょうか。
企業は常に先を予想して事前に対策を練っておく必要があります。コンシューマプロダクトを製造している企業では、景気動向や、市場のトレンド情報、気候情報など、様々な情報から受注予想をたてて、事前に対策案を練っています。
法人営業を主とする企業、そしてその営業現場においても同様の必要性があるはずです。
先月の営業結果を分析して反省・賞賛することはもちろん重要ですが、もっと重要なことは、先の予想、そしてまだあやふやな商談がどうなるか、その商談を受注するための施策の検討です。先月の勝った負けたの星取表の報告と敗因分析をする営業会議から、あやふやな案件を確実に受注するために全社レベルで何をすればいいかの施策を検討する、そして受注予想をたてる会議への変更が必要となります。
これを、「受注管理型営業管理から見込管理型営業管理へ変更する」と言います。そして当たり前のような考えですが、なかなかこの変更は困難なのです。
これは営業マンが見込み案件、すなわちやわらかいフェーズでの商談案件を公開しないことに起因することが一番の課題です。一発大型受注の賛辞文化が残っている営業組織では、いくら見込み型営業管理の仕組みを導入しても結局うまく回らないのです。最近ではITシステムを活用した商談管理システムで、こうした見込管理を簡単にできるようにもなりました。しかし、営業組織の文化を変えないで導入した企業では、営業マンへの事務作業の負担が増えるばかりで、企業にとっては先を読める見込案件情報が取れない、営業管理者は結局別の管理表で見込を管理してしまう、営業マンは入力するメリットがなく、益々嘘の報告をあげてしまう、といった負のスパイラルがまわり、時間とお金の無駄な使いの終わってしまったというような例も多くみられます。
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