お客様のシチュエーションに合わせたサービスを提供することができれば、サービスの価値は格段に高まりそうです。シチュエーションセンシングでお客様に喜んでいただけるサービスを実現するためには、何をセンシングするべきなのでしょうか。
例えば車での観光旅行中に「お昼でも食べようかな」と思っていたら、その地域にある自分好みのお店のランチ情報がカーナビに届いたら。つい行ってみたくなりますよね。
また、仕事で終電を逃して悔しい思いをしていたら、携帯電話に近くの乗り合いタクシーやホテルの割引チケットが届いたら、自分の携帯電話を誉めたくなってしまいます。
あるいは、ショッピングからそろそろ帰ろうかなと思っていると、近くのデパ地下でお総菜やワインのタイムセールや試食をやっていると教えてもらえたら。ついつい余計な買い物をしちゃいそうですね。
こんなことを実現するための考え方がシチュエーションセンシングです。
お客様のシチュエーションに合わせたサービスや情報提供ができれば、サービスの価値を格段に高めることができそうです。もしかするとお客様は、サービスを使えば使うほど「私だけのサービス」と、愛着を持ってもらえて、他社との差別化になるかもしれません。
■シチュエーションセンシングは難しそう?
「お客様のシチュエーションを捉えて気の利いたサービスを。」それは納得だけど、シチュエーションといっても千差万別。いったい何から手を付けたら良いか 見当もつかない。シチュエーションを捉えるには、最新の技術を駆使しないと実現できないのでは。と、ハードルが高く感じてしまうかもしれません。しかし案 外、明日からでもトライできることがあります。
まずは、自社サービスにおいてお客様のシチュエーションにはどんなものがあり、それをどう捉えるかを整理してみると良いと思います。一般的には、季節や気 候、天気、時間、場所、利用目的、同行者、感情や体調の変化など、シチュエーションは様々です。例えば天気や気候であれば、天気予報をチェックすることで ある程度捉えられそうです。位置情報であれば、GPS機能やセンサー、ICカードなどの技術を活用する必要があるかもしれません。利用目的は、お客様との コミュニケーションやアンケートを通して教えていただく必要がありそうです。感情や体調の変化であれば、サービススタッフの共感性や観察力を発揮して感じ 取らなければなりません。このように、必ずしも最新技術の導入がなくても、お客様のシチュエーションを捉えることはできそうです。
とは言え、お客様のシチュエーションは千差万別です。そこで、価値あるサービスを提供するためには、どんなシチュエーションを捉えるべきかを定義する必要があります。捉えるべきシチュエーションが明確になれば、明日からでも実践できることはありそうですね。
しかし実は、苦労してお客様のシチュエーションを捉えても、それだけでは価値あるサービスは提供できません。
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新