企業の内外製戦略は戦略的な意思決定です。現在は外作化だけでなく重要な部品やサービスを内製化することも重要な判断です。
ちょっと古いデータですが、2008年に弊社が実施しました『調達部門長向けアンケート調査』によりますと「内外作の意思決定」への参画を全体の57%の企業が調達部門長の役割として上げています。つまり何を社内で作り、何を購入するかという重要な意思決定に過半の企業では調達部門長が絡んでいるのです。ただ57%という数字が多いのか少ないのか、については議論が分かれるところでしょう。
一方で企業の生産戦略として、何をどこで生産するか、また社内では生産しないで社外から購入するかは「内外作の決定」と言われ非常に重要な意思決定です。
従来、多くの日本企業は付加価値を高めるために優先的に社内で生産を行い、
自社の生産能力を超えた部分だけ社外に委託する、のが基本的な方針でした。
しかし特に近年、製品の複雑化や技術革新により自社だけでは全ての技術開発や生産を対応できなくなり、社外の製品技術や製造技術を活用するようになりました。
また他方、社内のコストが上昇しコストを削減することを目的に戦略的な部品だけでなく、コスト削減を目的とした外注化が進展したのが1990年代後半~2000年代前半です。ファブレス企業とかEMSという形態が生まれたのがこの時期です。
その後企業の生産活動のグローバル化が進展し、コスト削減を目的にした社外
リソースの活用は益々進展してきました。この時期には社外の技術や生産の活用をグローバル化で行うようになったのが2000年代の後半から現在にかけての動向と言えます。
これらの動向をまとめてみると、社内生産を外作化し、その外作の範囲が広がり、より広範囲に戦略的に外作を進めてきた、というのが今までの動向と言えるでしょう。
先日、日経新聞記事にこのような記事が出ていました。
『ハルナビバレッジ、2リットルペットボトル内製化、コスト2割削減。』
2014/07/10 日本経済新聞 地方経済面
要約すると『群馬県高崎市にある飲料メーカーが子会社工場で2リットル用ペット
ボトルの生産を始め、従来の外部調達からほぼ全量を内製に切り替えることで、
コストを2割削減する。』という内容の記事です。このハルナビバレッジという企業は大手小売業者のPB品を手掛けており2リットルの品の比率も高く、また他の
ナショナルブランドに対してよりコスト的に厳しいという背景が今回の内製化
の理由として上げられています。
このような内製化というやや時代に逆行するような動きも出てきているのです。
外作化が進展する中で内製化を推進するという動きはあまり多くないでしょう。
(リーマンショック以降日本で作る量が確保できず外作品を引き揚げろという動きはありましたが、こういった戦略的な内製化の動向は多くないでしょう)
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。