2015.07.17
まだ東京で起業しているの?
「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト)
合同会社RegionWire
「まだ東京で起業しているの?」 なんかイケダハヤト氏っぽいタイトルですが(笑)、「日経ビジネス」2014年7月21日発売号でも「起業家が集まる過疎地」として紹介された徳島県美波町。 なぜ美波町には起業家が集まるのか?彼らは一体何をしようとしているのか? 今回はそのヒミツに迫ります。
まだ東京で起業しているの?~なぜ都会のスペシャリストたちが次々に過疎地で起業するのか?~
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徳島県南東部に位置し、海・川・山に囲まれた自然豊かな美波町は、四国遍路の巡礼地・薬王寺も町中心部に位置するなど、古くから漁業・農業・観光で栄えてきた。
一方1970年には約13,000人だった人口は現在約7,500人にまで半減するとともに、若年層の都市部への人口流出によって、生産年齢人口の割合は49.8%(全国平均63.7%)、また高齢者人口の割合も41.1%(同23.1%)と、典型的な地方の課題を抱えた地域でもある。(※2010年国勢調査)
(画像)海・山・川がコンパクトにまとまった自然豊かな美波町(徳島県海部郡)
そんな過疎地の再生に向けて、首都圏で活躍してきたアラフォーのスペシャリストたちが英知を結集すべく、この1年で次々に美波町で起業している。(※文中の年齢は掲載時点)
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「課題が山積する過疎地こそビジネスマインドを刺激する絶好の場所」
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美波町で地域活性の各種プロジェクトをプロデュースする「あわえ」を立ち上げた吉田基晴氏(42歳)は、元々は暗号化技術をつかった情報漏えい対策サービスを開発するサイファー・テックを東京で経営(※現任)していた。
サイファー・テックでは事業拡大に向けて東京で採用活動を進めていたが、知名度がないベンチャー企業には応募がほとんどなく頭を悩ませていた。そこで逆転の発想で、地方で働きたい人材を集めるべく、2012年に故郷である美波町にサテライトオフィス「美波Lab」を設立し、仕事とプライベートを両立させる生き方「半×半IT」を提唱したところ、首都圏からサーフィン好きのエンジニアが移住してきたり、地元の狩猟女子のエンジニアが応募してきたりするなど、人材採用が円滑に回るようになった。
(画像)地元の伝説のサーファーとサーフィンを楽しむ吉田基晴氏(左)
一方で地域になじめばなじむほど、次第に地元の人たちも腹を割って話すようになり、色々と地元の人が抱える課題や悩みを聞くことも多くなっていった。そんな声を聞くにつれて何か役に立てることはないだろうかと考えるようになり、最終的にサイファー・テックとは別に、吉田氏個人として新たにあわえを2013年6月に立ち上げるに至った。
あわえでは「文化資産(コト)」「地域産業(カネ)」「地域コミュニティ(ヒト)」のそれぞれの地域資源を保護・振興し、そして継承していくための事業を展開している。例えば、古い写真を個人宅や行政から預かってデジタル化してアーカイブするとともに、ビューアーやタブレット等にて利活用出来るようにする「GOEN(ごえん)」を開発したり、都会のIT企業と連携して地元の高齢者ガイド団体向けにタブレットを活用した観光ガイドの仕組みを構築したりするほか、“地域ファン”づくりの礎となる地域ポータルサイトを構築するなど、アナログとデジタルを上手く組み合わせながら、各種取り組みを進めている。
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