ベネッセは、教育の一大商社になるのか!?

2007.12.18

経営・マネジメント

ベネッセは、教育の一大商社になるのか!?

中土井 鉄信
合資会社 マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表

通信教育「進研ゼミ」で知られるベネッセコーポレーションが、東大受験に強い進学塾「鉄緑会」の買収を明らかにした。昨年から塾業界への積極的な参入を進めているベネッセの次のターゲットは名門中学受験塾かもしれない。

進研ゼミからZ会への宣戦布告

 通信教育「進研ゼミ」で知られるベネッセコーポレーションが、
東大受験に実績をもつ進学塾「鉄緑会」(東京)の株式の80%
を同塾の運営会社2社から12月下旬に取得することを明らかに
した(2007年12月04日 朝日新聞の記事より)。鉄緑会は東大
の卒業生らが始めた「東大受験専門」の進学塾で、合格率が高い
ことで知られる名門だ。

 ベネッセは、昨年から今年にかけてもの凄い勢いで塾業界に参入
してきている。「お茶の水ゼミナール」を買収し、「東京個別指導
学院」にTOBをかけて子会社化し、東京個別指導学院の持ってい
た「明光ネットワーク」の株を買い取って、大株主になり、そして
今度は、東大受験専門予備校「鉄緑会」を傘下におさめたのだ。

 今回の買収劇は、私にはZ会に対する明らかな宣戦布告に見える。
Z会と進研ゼミの大きな違いは、大学合格実績に対する信頼性であっ
た。質のZ会、合格実績のZ会というブランドイメージに対して、
進研ゼミは、高校生の補習的な要素が、印象としては強かった。だ
から、ここ数ヶ月、大学実績に関してのCMが徹底的になされて、
従来のイメージの払拭に努めていた。

 そして、今回の「鉄緑会」の買収なのだ。東大合格に圧倒的な強
みのある予備校のノウハウを吸収して、従来のイメージをZ会のそ
れに近づけ、さらに数にモノを言わせて、Z会を追い抜こうと言う
戦略なのではないだろうか。

ベネッセの次のターゲットは中学受験塾!?

ベネッセの次の戦略を占えば、ターゲットとなるのは、中学受験
塾の買収なのではないだろうか。それも名門中学受験塾を。もし、
中学受験塾まで傘下に収めれば、これで、進研ゼミの入り口から出
口は、完成する。小学生向きのチャレンジは、中学受験向きの要素
もあるが、まだまだ小学校の補習的なイメージが強い。それを中学
受験向きにイメージ転向するコースが出来れば、全体的なイメージ
も向上するはずだ。

 文部科学省の方針では、全国に中高一貫校は、これからまだまだ
創設されるはずだから、市場的には、狙い目なのだ。中学受験塾の
買収なのか、日能研の「知の翼」やサピックスの「ピグマリオン」
のような通信教育部門の買収なのかは分からないが、もしかすると
ベネッセの次は、こんなところを考えているかもしれない。

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツの
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中土井 鉄信

合資会社 マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表

1961年、神奈川県横浜市生まれ。 現在、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表。 NPO法人 ピースコミュニケーション研究所理事長。

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