2015.07.24
【地方創生のススメ】トラクター+男前=?~若手米農家集団の挑戦~
「地方創生のススメ」編集部 (東京過疎化プロジェクト)
合同会社RegionWire
全国各地の地域活性の取り組みを紹介する「地方創生のススメ」。今回は秋田の農業を盛り上げるべく立ち上がった若手米農家集団「トラ男」の取り組みを紹介しよう。 <企画・取材・文>「地方創生のススメ」編集部 ( http://regionwire.com / https://www.facebook.com/kasseiproject )
全国各地の地域活性の取り組みを紹介する「地方創生のススメ」。今回は秋田の農業を盛り上げるべく立ち上がった若手米農家集団「トラ男」の取り組みを紹介しよう。
===嫌いで離れた故郷だったが・・・===
秋田の若手米農家グループ「トラ男」。その仕掛け人でありプロデューサーの武田昌大氏は、秋田県北秋田市で生まれ育ったが、小さい頃は地元が嫌いで、早く田舎を離れて都会で働きたいと思いながら過ごしていたそうだ。そして大学進学を機に大阪へ、その後大学院進学で東京に上京した。
大学院は夜間制だったので、昼間はモバイルコンテンツ会社やWEB制作会社などで働き、その後ゲーム会社に転職してゲームプランナーを目指していた。しかし2010年正月に転機が訪れることに。
帰省のため高速バスで地元の町に降り立つと、都会とは180度異なる、まったく何もない風景に衝撃を受けたのだ。嫌いで出たはずの故郷、しかしその故郷が元気を失っている。そのときの焦燥感がきっかけとなり、次第に故郷のために何か出来ないだろうかと考えるようになり、色々調べていくうちに秋田の強みは「農業」であることに行き当たった。
秋田県は田んぼの面積や米生産量は全国第3位、そして食料自給率は全国第2位と米の一大産地であるが、農家は高齢化が進んでいて約7割が高齢者の方々だ。今は何とかなっていても、この状態が続けば10年後、20年後には米を作る人たちがいなくなってしまう。そこで若手の農家を盛り上げるプロジェクトを立ち上げようと考えた。
しかしそれまで農業に一切関わったことがなかった武田氏。そこでまずは3ヵ月間、平日は東京で働きながら、休日は秋田に戻ってのべ100件近くの農家に話を聞いて回った。最初は「農業を知らない奴が来た」と門前払いを食らったことも多々あったそうだが、「話を聞く」よりも「仲良くなる」ことを優先して相手の懐に入り込もうとしていくうちに、泊めてもらったり、一緒に呑んだりしながら、溶け込むことが出来るようになっていったという。
そしてその過程で大きく2点、農業の課題を感じるようになった。農家は朝から晩まで稲作に励んでも時給に換算すると200円にも満たない。そしてそんな状況でも一生懸命作った米も、一般流通に乗せると他の農家が作ったお米と一緒にされてしまい、農家の“顔”が見えなくなってしまう。しかし同じ品種でも、つくった田んぼや育て方、そして何より作り手の想いによって味は全く異なる。そこで既存の流通ではなく消費者と農家とを直接つなぐ流通をつくることで、消費者に直接価値や想いを届けるとともに、報酬の問題も解決しようと考えた。
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