サービス向上やCS向上を効果的に進めるための勘所から、今回は少し視点を広げて、サービスビジネスを成功に導くための4つのポイントについて、サービスサイエンスの理論を交えながら触れてみたいと思います。
これまで、サービス向上やCS向上を効果的に進めるための勘所を、サービスサイエンスの理論を交えながら押さえてきました。今回は、少し視点を広げて、サービスビジネスを成功に導くための4つのポイントについて触れてみたいと思います。
サービスビジネスであれば、「サービスでお客様に満足していただくこと」に努力していない会社はないと思います。しかしそれでも、サービス事業が立ち行かなくなってしまうことが多々あります。ただ単に「サービスで満足していただく」だけではダメだということなのです。お客様に喜んでいただくためにサービスを磨いていても、お客様が来てくれなければサービスを提供することすらできません。つまり、まずはじめに、「サービスを受けたいと思っていただく」必要があるのです。
サービスを受けたいと思って頂く
言われてみれば当たり前ですが、実はこれが想像以上に難しいのです。サービスは目に見えないので、期待に合ったサービスかどうかは受けてみないと分からないという特徴があります。ゆえにお客様は、期待と不安の入り混じった中でサービスを選んでいます。「サービスを受けたい」と思っていただくためには、この期待や不安に寄り添わなければなりません。
例えば外食店や小売店、美容院などの店舗型のサービスでは、店内が見えない、メニュー表も表に出ていない、ホームページも見当たらないとなると、お客様は不安で、とてもサービスを受けたいとは思わないであろうことは容易に想像できます。
これほどではなくても、努力の内容がお客様の期待や不安にマッチしていないことはよくあります。お客様が居心地を期待しているのに、ホームページに店内やスタッフの様子が掲載されていない。店内の様子を見てから決めたいお客様がガラス越しに店内を覗こうと思ったら、スタッフがすかさず「いらっしゃいませ!」と声をかけるので、お客様が去っていってしまう、フラッと小売店やデパート立ち寄ってら店員がベッタリついてくるので気軽に立ち寄れなくなったといった具合です。
サービスを受けたいと思っていただくためには、お客様のどんな期待や不安を意識しなければならないのか、明確に定義しておく必要がありそうです。
そこそこの満足ではリピーターは増えない
さて、うまく「サービスを受けたい」と思っていただけるお客様が増えたとします。しかし、そのお客様がリピートしてくれなければ、事業はうまくいきません。毎回新規のお客様を開拓し続けることは至難の業ですよね。つまり、サービスビジネスを成功させるためには、サービスを受けたお客様に「リピートしたい」と思っていただく必要があるのです。
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2015.07.10
2009.02.10
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新