トヨタの改革手法の「姿置き」と「BR」の共通点とその凄さについて述べます。
今回は調達から離れますが、「トヨタの改革手法」について述べます。
日経産業新聞で「経営コンサルの現場から」という記事が連載されています。
この1月からはオージェイティー・ソリューションズのコンサルタントの岡内様が「事例で学ぶトヨタの仕事術」というタイトルの連載です。
オージェイティー・ソリューションズは2002年にトヨタ自動車とリクルートグループによって設立された会社で、トヨタの現場経験やカイゼンを指導してきたトレーナーが中心となってより実務的な改善指導をやられています。製造業の現場改善だけでなく間接部門や非製造業に対してもノウハウを活かして指導をしているようです。
実はこの連載記事が結構面白いです。私もコンサルタントなので知っていることも多いですが改めて知ることも多く出てきます。中でも面白かったのが5Sの1つである「整頓」の手法の一つである「姿置き」にかかる説明です。
工場等の現場に携わっていない限り5Sの中でも「整頓」というのはイメージがし辛いでしょう。「整頓」の意味は「必要なものを使いやすい場所にきちんと配置すること」です。
「整頓」のためのルールを理解させる手法として「姿置き」というものがあります。
工場現場に行かれる方は分かるでしょうが、工具やその他のモノを置く場所(定位置)を示すために、同じ大きさの写真や絵を作り、それを形を示す影のように定位置に記載することを「姿置き」と言うそうです。
姿置きをすることで、例えばよく使用する工具を使用者が元に戻さず、紛失したと勘違いして新規購入してしまう、とか次の使用者が探すムダが発生するのを防ぐことに役立ちます。私も最初に入社した自動車会社の事務所で共有の事務用品などが「定位置」が決まっていて、そこになければ誰かが使用しているということがすぐにわかるようになっていたな、というように事務所でも使われている手法なのです。
このように「姿置き」は「整頓」の効果的な手法です。「姿置き」の効果は誰もが「意識せず」に「整頓」できるようにすること。その理由としては人間は整った環境にモノ
が「姿置き」で保管されていれば「意識することなく」そこにモノを置くことがルールであると認識するからです。またその目的を理解していなくても自然とルールに従うものとのこと。
これは「人間の習性」なのだそうです。「姿置き」によって定位置を「可視化」することで、万人がルールを理解し、ルールに従うようにする、というのが「姿置き」の目的であり、ある意味トヨタ式カイゼンのポイントだということでしょう。
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2016.06.17
2009.02.10
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。