“働き続けたい職場”の実現に知恵とカネを使え

画像: Greek Reporter

2015.03.30

組織・人材

“働き続けたい職場”の実現に知恵とカネを使え

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「うちの業界は3Kだから」と端から諦めているようなら、人材獲得競争での負け組は確実。思考停止せずに知恵を働かせ、要所にカネを使えるかどうかが分かれ目だ。

某大手物流会社では、ドライバー不足のために拠点立ち上げ計画の延期を余儀なくされた。この会社はドライバー確保のために広告費をかなり使っている上に、傭車(他の運送業者からトラック・ドライバーを一時的に借り受けて配送してもらうこと)で凌いでいるのが実情だ。

しかし別の中堅物流会社では、総合的な労務・福祉対策により自社契約のドライバー確保にめどを立てつつある。

多忙を極める建設関連業の経営者が雑誌記事でこぼしていた。「熟練工になれば年収1000万円も珍しくないのに、みんな大学に行って高卒のいい人材はなかなか来ない。仕事はあるのに」と。地元のハローワークでは常態的に応募を掛けているようだがほとんど効果はなく、事業拡大に急ブレーキが掛かるのは間違いないようだ。

でも同業種で、スポーツ助成に力を入れることや学校とのパイプを作って事業内容をきちんと説明することで、大学卒や高専卒を含めていい人材を確保している会社も幾つかある。

ある地方病院の関係者が危機感を口にしていた。「看護師不足が深刻。看護師専門の人材紹介業に依頼してもこの頃は難しい。確かに勤務が不規則で責任も重い職種なのだが、結婚・出産で退職した人たちの後任を見つけられないまま、ギリギリの運営を続けている」と。

でも鳥取大学医学部附属病院では、敷地内に託児所を設けるなど様々な子育て支援制度を充実させることで、看護師のなり手を確保している。補充が必要となれば、同病院の福祉の充実ぶりを知っている看護師の応募が他県からも殺到する。

知人のITコンサル会社経営者の悩みも深刻だ。マイナンバー制度対応など、ITシステム開発の仕事の打診は山ほどあるのに、プロジェクト・マネージャーはもちろん、エンジニアもプログラマーも全然足らないというのだ。これ以上手を広げるどころか、今引き受けている仕事ですら綱渡り状態だという。

毎週どこかでメンバーが病気やうつ状態になってしまい(この業界、相変わらずこれが多いようです)、人材紹介会社に片っ端から連絡して「札束で頬を叩く」ように補充を依頼するのが日常業務になっているそうだ。

でも幾つかの大手・中堅ITシステム会社では元々仕事に無理がないように組んでいるため、そうした「うつ発症が常態」という悪習からは無縁だ。しかもそれらの会社では子育て支援制度等が充実しているうえに、子育て期間でも自宅で柔軟に仕事を続けられるため、退職率は業界平均より圧倒的に低いのが自慢だ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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