日本的なるものに対する見直しが今後日本企業にとってキーとなってきます。その一つが課長です。
先ごろカナダで行われたサッカー女子ワールドカップでは日本女子チームの活躍が話題になりました。残念ながら今回はなでしこジャパンは優勝はできませんでしたが、最後まで諦めないで戦う姿は多くの人に感動を与えたものです。
今回のなでしこジャパンで一番輝いていたのは間違いなくキャプテンの宮間選手でした。宮間選手のインタビューを聞いていると彼女はビジョンを持ったチームリーダーであることが分かります。「女子サッカーをブームに終わらせずに文化として育てたい」という発言など、先代のキャプテンであった澤選手が「背中を見せてついてこさせる」タイプに対して、よりその時代にあったリーダーシップや意識の高さを感じるのです。
宮間キャプテンの言動を聞いていて感じたのは、彼女は企業で言えば「マネジャー」の仕事をしているな、ということ。企業のマネジャー(課長)はプレイングで現場を知るでけでなく、企業の戦略やもっと言えば企業の改革のきっかけを作りだす役割を担っています。そういう意味からも宮間選手はなでしこジャパンの課長の役割を果たしているのです。
というようなことを考えていたところ、面白い特集が雑誌AERAで取上げられました。
「日本から課長が消える」と言う記事です。この特集はニュースアプリであるNews Picksでも取り上げられており、かなり話題を読びました。
AERAの記事を読むと「課長が消える」というよりも職階としての課長職がなくなる、もしくは見直されていくだろうという論調です。確かに部下なし課長という方は私の周りにも少なくありません。そういう方が課長でなくなる、また今後日本企業も米国型のポストに報酬がリンクする方式に変わっていくのがトレンドであるとの内容でした。
1990年代の中ごろからでしょうか。日本企業の人事制度は大きく変わってきました。フラット化、権限移譲、さんづけ運動、チーム制、成果主義、こういう波の中で所謂従来の課長の多くは既にいなくなってしまいました。マネジャーのプレイングマネジャー化です。課長がプレイングマネジャー化するにつれて部下なし課長は増えました。場合によってはやっている仕事自体は変わらないものの残業代を減らすことを目的に課長職に昇格させるというようなことも行われていたようです。
このような課長は本当に不要な存在なのでしょうか。確かに意思決定のスピードや人件費の削減、権限移譲という点から今までの管理職としての課長はいない方がよいのかも知れません。また特に名前だけ課長、部下なし課長はあまり企業にとってメリットがある制度とは言えないでしょう。しかし、90年代からの課長のプレイングマネジャー化が日本企業に対していくつかの弊害をもたらしたことを指摘することは容易です。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。