三菱電機のコンシューマー向けウェブサイト内に、新コンテンツ「三菱“大人”家電」がオープンした。シニア向けの家電の提案ということでは、ターゲットをほぼ同じに設定しているパナソニックの「Jコンセプト」のシリーズと似ている。だが決定的な違いがあるのだ。その違いとは何か。そして三菱の強みとは。すでに5年前に始まっている同社の取り組みから、紐解いてみたい。
新シリーズではなく、既存製品からセレクト
少子高齢化のご時世、団塊の世代を中心とした“シニア層”をターゲットとした市場開拓にどの業界も熱心だ。家電業界も然り。2014年秋にパナソニックがJコンセプトシリーズを、タイガー魔法瓶も調理家電のシリーズにGX(グランエックス)シリーズを発表している。追随した三菱電気の「三菱“大人”家電」は、同社のコンシューマー向けウェブサイト「CLUB MITSUBISHI ELECTRIC」内に、「家電から考える、今より ちょっと上質な暮らし」をコンセプトにした新コンテンツとして登場させたものだ。
三菱“大人”家電とはどんな家電製品群なのか。実はあえて新シリーズを立ち上げるのではなく、現在の三菱電機の家電のラインアップの中から、大人家電としてふさわしいものをセレクト。それを大人世代=シニア向けに提案しているということだ。同社のメルマガにおいても新コンテンツについて、以下のように説明している。
知的好奇心が高く、“本物”“上質”を知る、家電の進化を間近に見てきた “大人”世代へ向けて、三菱家電の製品説明にとどまらない、製品の裏側に ある「上質なモノづくりへの考え方」や、三菱家電を通じた「生活の“質”向上」などをご提案いたします。
今回、大人家電としてラインアップしているのは、超小型軽量で紙パック式の掃除機「Be-K」TC-FXE10P、シンプルな操作で時短調理がかなうレンジグリル「ジタング」RG-GS1、3.5合炊きのジャー炊飯器「本炭釜」NJ-SW066、録画機能内蔵のオールインワン液晶テレビ「REAL」BHR7シリーズ、ボタンや文字を大きくわかりやすく表示したIHクッキングヒーター「らく楽IH」など7製品。
どれもサイズ感といい、高級感のある質感といいターゲット層にぴったりだが、シリーズ展開していないのに、集めて並べても違和感がないのは、基本となるカラーをホワイトで統一している点が大きい。あえてシリーズ化した新商品を出さなくとも、「提案力」で“魅せて”いく。そのほうが購入するほうも特別視されていない分、購入しやすいようにも思う。
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2015.07.10
2015.07.24
株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー
新聞社勤務を経て、フリーランス・ライターに転身。マーケティング会社での企画・広報などを兼務した後、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立し、2008年に株式会社神原サリー事務所を設立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」ことをモットーに顧客視点でのマーケティングを提案している。