昨日発表された「Mac BooK Air」が早くも大きな話題となっている。 その凄さのポイントを、フィリップ・コトラーのフレームワークで読み解いてみよう。
A4サイズ、厚さわずか1.94センチ(最薄部0.4センチ)。これこそ真に「ノートパソコン」と言えるものだろう。64MBのソリッドステートドライブモデルもあり、モバイルとしての耐衝撃性、省電力性にも貢献するはずだ。
毎日PanasonicのLet's noteを持ち歩いている。普通のパソコンに比べればかなり高価な分だけコンパクトにできているが、欲を言えば本当に気軽に持ち歩くにはまだかさばる。
Mac BooK Airの本当の”ノート”の実現ともいえる薄さへの挑戦は、ここのところ停滞していたパソコンの進化において、久々な高レベルだといえるだろう。
ノートパソコンは少し前からカラーバリエーション展開が目立つようになっていた。NECやソニー、DELLが顕著だ。DELLのようなBTO(受注組み立て出荷)であればまだしも、店頭モデルでカラーバリエーションは在庫を多くしてしまう危険性を伴う。しかし、その危険性を飲み込んででもカラーバリエーションを展開しなくてはいけないぐらい、差別化要因が乏しくなってきているのだ。
図の「フィリップ・コトラーの製品特性5層モデル」で表すと、ノートパソコンの製品の提供価値はどんどん外側になっていることがわかる。正にカラーバリエーションは一番外側。提供価値のどん詰まりなわけだ。
今回の「Mac BooK Air」の何がすごいのかと考えれば、薄さへの挑戦という、モバイル用ノートパソコンの根源的な部分を改善している点だろう。中途半端に薄くなったのではなく、元々薄かった前の機種から3割減だ。
製品特性でいえば、「期待」の階層を改良したわけだ。「拡大」の階層のデザインや「潜在」の階層のカラーから比べると高次元の改良であることがわかる。
おっと、あまり書いていると、自分自身の「期待」がむくむくと膨れあがっていく。
まだLet's noteを買い換えたばかり。分析にとどめて物欲は抑えておこう。
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2008.01.20
2008.08.01
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。