マーケティング戦略の基本的なアイディア、プロダクト・アウトとマーケット・イン。 SDGsベンチャーとしてエシカルファッションの製造を行うINHEELSを事例に、これらのアイディアの有効な取り入れ方を考えます。
マーケティング戦略に、プロダクト・アウトとマーケット・インというアイディアがあることはご存知の方も多いだろう。
前者は自社のコア技術や研究開発・製造体制といった作り手側の発想で製品開発を行うこと、後者は生活者のニーズや市場といったサービスの受益者側の発想で製品開発を行うことを指す。
この言葉が最もよく使われるものの一つは、日本の電機メーカーを説明する文脈である。「日本の電機メーカーはプロダクト・アウトの製品開発を行った結果、高品質・高性能だが顧客が必要としない製品を多数生み出してしまい、競争優位性を失った」というような主張である。顧客起点のマーケティングが叫ばれる中、上記のようにプロダクト・アウトよりマーケット・インのアプローチの重要性が語られることが多い。
一方、INHEELS(インヒールズ)のものづくりにあてはめてみると、マーケット・インでもありプロダクト・アウトでもある、という結論になる。この両方の側面を有していることが、企業のブランディングとして有効なのだ。今回は、相反する2つの方向性の融合について、思うところを書いてみたい。
INHEELSのブランドコンセプト「Who said Ethical is not SEXY?」から考える
INHEELSのブランドコンセプトは、「Who said ETHICAL is not SEXY?(エシカルがセクシーじゃないなんて、誰が言ったの?)」である。私はこの反語的表現=既存のエシカルファッション市場のあり方を明確に意識しつつ、自らの主張も強く行うところにINHEELSのブランディングのあり方が集約されていると感じている。
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