今日は、そもそも論。 「イノベーションとは何か?」 ということについて押さえておきたいと思います。
なお、今回、および前回の内容は、
文末に示した参考文献、および山口栄一氏(同志社大学
ビジネススクール教授)の「夕学五十講」での講演を
元にしています。
実は、先週も山口氏の話を基にした記事を
いくつか書いています。
山口氏のお話や本があまりに面白かったため、
こうして続けて書かせてもらっているという次第です。
さて、「イノベーション」と聞くと、
どうしても「技術」分野における発明や画期的な新製品の開発を
連想しますね。
しかし、イノベーションを研究した経済学者、
シュンペーターによれば、イノベーションは技術分野に
とどまるものではありません。
シュンペーターによる
「イノベーションの定義」
は次のとおりです。
“イノベーションとは、経済活動の中で生産手段や資源や
そして労働力などを今までとは異なる仕方で「新結合」すること”
そして、具体的なイノベーションのタイプ(類型)として
以下の5タイプを示しています。
(1)未知の新商品や新品質の開発
→プロダクト・イノベーション
(2)未知の生産方法の開発
→プロセス・イノベーション
(3)新市場の開拓
→マーケティング
(4)ものの新しい供給源の獲得
→サプライチェーン・マネジメント
(5)新組織の実現
→組織イノベーション
つまり、経済活動、もっとミクロ的にいえば、
「企業活動」において、従来になかった
「新しい組み合わせ」
を実現することです。
たとえば、代金1000円ポッキリ、洗髪、髭剃りなし、
所要時間10分散髪が終わる理髪店、
「QBハウス」
は、どんなイノベーションを実現したのでしょうか?
(2)の未知の生産方法(サービス提供方法)、
すなわち、「プロセスイノベーション」ですね。
余談ですが、QBハウスに初めて行った人なら誰でも驚く
(戸惑う)であろう仕組みが、切った髪を掃除機のように
吸い取るやつ(バキューム?)でしょう。
あれは、実に奇想天外なアイディアでした。
さて、上記5タイプのイノベーションは、
大きくは次の2つの軸、すなわち
・技術に関するイノベーション(1、2)
・経営に関するイノベーション(3、4、5)
に分けることができますが、
山口氏はこの2つでは足りないと考え、
もうひとつ新たな軸を追加しています。
それは、
「アイステシス・イノベーション」
(Aisthesis Innovation)
です。
「アイステシス」(Aisthesis)はギリシャ語で、
英語の「エステティック」(Esthetic)の語源と
なっている言葉。
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2008.02.15
2008.03.19
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。