最近のCSR活動では「ステークホルダー」との関係強化という視点が重要視されています。 それを象徴するCSR関連での大きな動きを2つここでは取り上げます。 *******************以下本文*******************
CSR活動は慈善活動ではなく、企業価値を高めるものだと別の記事で書きましたが、改めてCSR活動のメリットを考えると、大きく以下が挙げられます。
(1) 企業理念の再確認と浸透
(2) ステークホルダーに対する価値向上(顧客/従業員/社会/投資家 等)
(3) 企業の意識・風土の改革
(4) 部門横断的コミュニケーションの発達
(5) 経営リスクの軽減
こうした中で最近は(2)に挙げられている「ステークホルダー」との関係強化が重要視されています。「社会貢献は企業の使命であって今更騒ぎ立てることはない」とは全くもって頷ける意見ではありますが、それを積極的に開示していく動きの活発化はやはり企業が社内外のステークホルダーをより意識せざるを得なくなった結果と言えます。
それを象徴するCSR関連での大きな動きを2つここでは取り上げます。
社会的責任投資の台等
1つはSRI (Social Responsibility Investment)、日本語で社会的責任投資です。これは企業の財務状況や事業モデルだけでなく、その企業の環境/社会的貢献活動の評価を投資意思決定に反映させるという投資手法です。SRI型金融商品も多く出てきていますが、これは90年代に登場した「エコファンド」を幅広い社会貢献活動にまで広げたイメージのものです。
もともとタバコやギャンブルといたったネガティブな社会イメージを持つ企業に対して投資を嫌う動きがあった欧米では近年このSRI投資が近年急速にその比率を伸ばしています。
【米国におけるSRI投資資産残高】
つまり社会貢献活動の評価が直接投資家の投資判断に直結してしまうのです。この動きが
■社会貢献活動の実施→■積極的開示→■投資家の判断材料となる評価基準に基づいた開示
といった、流れを加速しています。
ある企業がファンドからの資金調達を考える場合、特定の運用機関が提供する評価基準で自社のCSR活動をチェック/評価するということは十分に意味があることだといえます。
日本でもモーニングスターやインテグレックスなどの会社が独自の評価基準を設定しています。
GRIガイドライン Ver3のコンセプト
ステークホルダー重視への方向性を示すもう1つは前回の記事でも触れた、GRIのガイドライン 「Sustainability Reporting Guideline Ver.3」です。詳細はここでは触れませんが、最大のポイントは「ステークホルダー エンゲージメント」というコンセプトです。DisclosureよりもEngagementという言葉の使い方に投資家や株主を含めた全てのステークホルダーとの協調がより意識されつつあることが伺えます。
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