パワーポイントを開いてプレゼンを作成しようとしたとき、あなたは先ず何をするだろうか。
一概に「これが正解」というほど、プレゼンやパワーポイント使いの達人ではない。だが、つとに思っていたことを少し記したい。
謎解きのような問いかけをしてオーディエンスを引き込み、最後に「これだ」とばかりの結論を示して、「なるほど!」と膝を叩かせる。そんなプレゼンは聞いていて実に面白い。広告代理店がクライアントに提案するときなどによく用いられる手法だろう。だが、これが一般的かというと、実は特殊な手法だと思った方がいいと思う。
報告や提案などプレゼンの目的は多々あれど、基本は「結論先だし」ではないだろうか。特にオーディエンスがエライ人な場合はなおさらだ。しかし、多くのプレゼンを見ると、「だから何が言いたいの?(So what?)」な展開が実に多い。別にエライ人でなくとも、今日のビジネスは時間が勝負だ。プレゼンを楽しんで聞いている時間などないのは誰も同じことなのだ。
では、なぜ「結論先だし」にならないのかと考えると、日本語という言語の特性がそうさせるのかもしれない。少々物騒な例えだが、外で「おまえ!、ぶっ殺してやる!」と叫んだ人間がいるとする。すると、目の前の対象者は「おまえ!」で自分に何かが起こることがわかる。同時にその他大勢はその時点で対象外だ。続く「ぶっ殺してやる!」でその当人は慌てることになる。英語ならどうか。”Kill you!”先ず、”Kill”で「おいおい、危ないやつがいるな」とその場の全員が警戒する。何が起こるか結論がわかるからだ。このほど左様に、我々は「結論先だし」に関してはハンデを負っているといっていい。
しかし、今日のビジネスは「結論先だし」が求められている。日本語のせいにはしていられない。もう一つ問題があるとすれば、パワーポイントが求める「お作法」ではないだろうか。
パワーポイントを起動すると、最初にスライド画面が表示される。ロジカルにプレゼンを構成しようと思ったら、本来的にはアウトラインで階層構造をもって書き進む方がいいと熟練者は言う。しかし、パワーポイント2007になってから、アウトラインでも、スライドと同じ画面表示になってしまった。パワーポイントは実にうまくお絵かきができるので、やはりスライド画面で図表を使いながらプレゼンを作り込んでいくのが好きな人が多いからだろう。実は筆者もそうなのだが。
くせ者なのは、起動時に「クリックしてタイトルを入力」と表示されることだ。プレゼンの表紙、各ページのタイトルを言われるまま、「何となくこんな感じかなぁー」と入力する。そして「クリックして本文を入力」と言われるままに、本文を書き進む。そのページ終了。また、次のページも同じこと。そして、そこは悲しき「結論先だし」の苦手な国民性からか、タイトルは「こんなことをここで述べます」という宣言になり、ページの最後でも何となく結論が出ているような、出ていないような構成になるケースが多い。
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2008.02.21
2008.02.22
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。