「嫌われる勇気」・・・ヴィレッジヴァンガードの場合

2015.07.10

営業・マーケティング

「嫌われる勇気」・・・ヴィレッジヴァンガードの場合

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 知っている人は知っている。というより「大好き!」という。知らない人は全く知らない。もしくは前を通ったとしても「何かゴチャとした店」と思うだけでスルーする店。それが、「遊べる本屋」をキーワードに、展開している書店、ヴィレッジヴァンガードだ。書籍、雑貨、CD・DVDなどをコーナー分けせずにゴチャっと陳列販売することを特徴としており、ファンは「ヴィレヴァン」「ヴィレッジ」などと愛称で呼ぶ。

 全てのお客様に「ステキな店・便利な店」と認められることを捨て、むしろ「ゴチャゴチャしていて入る気が起きない店であり続ける」という境地に立つことは、考えてみれば「嫌われる勇気」にも通じるものがある。
 累計63万部を突破し、2014年に超大の話題作となったアルフレッド・アドラーの『嫌われる勇気』。日本人にとって馴染みのなかったアドラー心理学の入門書であるが、その要点を乱暴にまとめてしまえば、「人の期待に応え、良い人と思われようとする”承認欲求”を捨て、”他人から嫌われるコスト”を払ってでも、その”全ての人から嫌われないように立ち回る不自由極まりない生き方から解放されるべきである”」ということである。

 全ての顧客を追わない。「嫌われる勇気」を持って強烈な5%のファンのために店作りをすることを決意した「ヴィレヴァン」の決断は、中途半端になって失敗しがちなニッチ戦略の好例として学びは深い。


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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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