日本の企業結合に関する会計基準の改訂が現在検討されています。日本の会計基準は国際会計基準との共通化に向けて改訂作業を加速させていますが、日本の会計基準はどのように変わっていくのでしょうか。そして統合を目指している国際会計基準とは何なのか、企業結合会計を読み解きながら考えていきます。
本サイトへの投稿記事は
aegif blog(http://aegif.typepad.jp/)より引用しております。
2月28日付け日経新聞の朝刊に日本の企業結合に関する会計基準の改訂されることが報じられました。これは企業会計基準委員会から企業結合会計の見直しに関する論点整理が公表されたことを言っています。具体的には持分プーリング法を廃止するなどの改訂が検討されています。
持分プーリング法とは何か
持分プーリング法というのは買収などで取り込む企業の資産、負債を簿価で計上するというもので、国際会計基準や米国会計基準では認められていない処理です。なぜ認められていないかというと、簿価で計上すると、含み益のある不動産などがあった場合経営者は自分の好きなときにその含み益を出して利益を作り出すことができますし、濫用されてしまう可能性があるからです。
そもそも簿価で計上するという処理は、企業結合の当事者企業間に支配する、支配されるという関係でなく、対等な関係であるという実態に即したものと考えられているのですが、現実にはそのような企業結合の取引はほとんどないものと考えられています。
日本の会計基準と国際会計基準の考え方の違い
会計基準というものはできるだけ処理に選択の余地をなくし、例外的な取り扱いをなくしたシンプルなものであるべきだと考えられていますので国際会計基準などでは持分プーリング法を認めていません。
それでも日本では実態として当事者の企業が対等な企業結合はあると考え、一定の要件のもとに持分プーリング法を認めてきました。しかし、要件が厳しく実際に持分プーリング法によって処理された企業結合取引はあまりありませんでした。持分プーリング法を認めるという日本独自の意見を貫いてきたわけですがついにそれも取り下げざるを得ない状況になっています。
日本の会計基準が遅れていたわけではない、という日本独自の会計基準にこだわることを擁護する意見はありますが、独自性を貫こうとしたあまり国際会計基準との差異が広がってしまい現在日本は苦労しているというのは事実だと思います。今後も日本の会計基準は急ピッチで整備していく必要があり、実務を担当される方々には相当な負担となりそうです。
次回は日本の会計基準が統合を目指そうとしている国際会計基準では企業結合会計がどのように処理されるのか、国際会計基準の内容を見ていきたいと思います。
企業結合会計が変わる
2008.04.04
2008.03.28
2008.03.18