前後篇の2回に渡って、顧客の視点を含めいくつかの視点を紹介します。複数の視点で眺めることは、自社の特性(コダワリ)を発見する契機になるかもしれません。
福田首相が提唱した「消費者庁(仮称)」の新設に向けた作業が進んでいます。この例を挙げるまでもなく、「時代はプロダクトアウトからマーケットインへ」とあちらこちらで言われています。
しかし、長年生産者の立場を主張してきたのが、一転して消費者の立場でといわれても、どうすればいいのか戸惑います。パラダイムシフトの必要性はわかっていても、頭は簡単に切り替えられません。このような時には視点を変えてみる(視点移動)ことが、パラダイムシフトを促進していく上で効果的です。
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まず、自分の立場で主張するのがIの視点です。自分の主張と他人の主張が一致していれば協調できます。一致団結して行動することができます。
しかし、さまざまな条件の影響で両者の立場に乖離がある時には、コンフリクトが起こります。コンフリクトを回避するために、自分の立場を脇において相手の立場に立ってみるのがYOUの視点です。
●相手は、どう思っているのか?
●相手は、どうしてそう思うのか?
●相手は、それを望んでいるのか?
●相手は、どうすれば満足するのか?
これらのことについて考察することは、相手の立場を疑似体験することになります。大仰に意識することなくYOUの視点に移動することができます。
「赤の他人のことをわかれなんて無理」といって悶々と悩んでいる人には、これらの質問について考えることをお勧めします。これらの質問は単なるキッカケにしか過ぎません。しかし、その小さなキッカケが発想の転換や問題解決の突破口になることが多いです。
YOUの視点は相手を肯定的に考える視点です。I→YOUに切り替えることで、相手に同情したり共感したり、意外な変化が起こります。
このように相手を肯定することにはメリットがある反面、相手を肯定することを強調し過ぎると、相手を受け入れ難いと思っている人には抵抗があるでしょう。時には、不道徳や非常識を理由に、頑強にYOUの視点を拒否してしまうことにもなりかねません。
また、相手のことをある程度知っていなければYOUの視点には立てません。情報不足の状態では、I→YOUの切り替えは難しいでしょう。YOUの視点に立つためには、情報収集や洞察力などが必要になります。
YOUの視点の場合、自分とは違う他人が具体的に存在するのですから、どれだけ実在の相手に近づけるかがポイントになります。ここでいうIを自社、YOUを顧客と考えれば、マーケットイン戦略の一助になることをお分かりいただけると思います。
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論理思考
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