今春大学を卒業した新入社員は、ゆとり教育がスタートした年に小学校に入学した若者たちです。いよいよ、ゆとり教育を謳歌した世代が社会に大量放出する時代を迎えました。
学習指導要領の改正により、1992年4月から学習内容、授業時間が削減されました。小学校の1年生と2年生の理科と社会を廃止して生活科が新設されました。そして、同年9月から第2土曜日が休みになります。その後、1995年4月からは第4土曜日も休み、完全学校週5日制になったのは2002年4月からです。
ちょうど、1985年4月2日~1986年4月1日生まれは、小学校に入学した時から月に1回は土曜休みがあって、高校生になると完全週5日授業にドップリ浸かったことになります。彼らが大学なら、今年卒業です。
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平成19年度版「青少年の現状と課題」(青少年白書)で、2003年3月の新卒者の3年以内の離職率が中卒70.4%、高卒49.3%、大卒35.7%であったことから、このような新卒者の離職現象を「七五三現象」と呼ぶようになりました。
このようなデータから、若者は安定した職場を簡単に辞めてしまうように思われがちですが、一方で、次のようなデータもあります。
社会経済生産性本部が毎年行っている新入社員意識調査の2008年度版をみると、「今の会社に一生勤めようと思っている(47.1%)」が「きっかけ、チャンスさえあれば、転職してもよい(35.2%)」を上回っています。しかも、昨年に続いて2年連続で10ポイント以上の大差です。
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/mdd/activity000859.html
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舛添要一厚労相は4月23日の経済財政諮問会議で、2010年度までの3年間に「フリーター、ニートなどの若者100万人を正社員化し、女性と高齢者で計120万人の雇用を増やす」という数値目標を打ち出しました。
今はもう、正社員ではない生き方が奇異な目で見られる時代ではありません。今年4月の改正パートタイマー法施行前のデータですが、非正規社員の総数は1700万人超、3人に1人が非正規社員です。
みずほ総合研究所が厚労省の「2006年賃金構造基本統計調査」を基に試算したところ、男性が生涯正社員だった場合の生涯賃金が平均2億3200万円(女性 1億7800万円)なのに対して、週25時間働く非正規社員だと生涯賃金は6200万円(女性 5200万円)程度で3倍以上の開きがあります。老後の年金も、生涯正社員の男性なら月17万円(女性 14.6万円)もらえますが、労働時間が週25時間の非正規社員は6.6万円です。
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