「自律」と「自立」の違いについて

画像: US Department of Education

2015.07.15

組織・人材

「自律」と「自立」の違いについて

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

自律と自立の違いは何か?・・・これを言葉の定義上で理解するのではなく、その原理・原則のイメージを自分の中に据えておくことで、意識の中に長く効果的に定着するのではないだろうか。

【Envisioning Career-scape 第1景 #2】=======

私は、「自律的な働き方とは何か?」「自律と自立の違いは何か?」
を説明するのに、

3+5=●
●+●=8

の2式を用いています。

<閉じた質問・閉じた業務>
3+5=●は、いわゆる「閉じた質問」です。
誰が答えても、正解は「8」。
閉じた質問において、回答者が要求されることは、

・きっちり四則演算(というスキル)を習ってきなさい
・速く、正確に答えを出しなさい
・そして量をこなしなさい

閉じた質問においては、回答者は「処理作業」を行い、
個性を求められることはありません。

これは日ごろの業務で言えば、
定型の仕事、過去の方法を踏襲してやる仕事だと思います。

<開いた質問・開いた業務>
一方、●+●=8は、「開いた質問」です。
答える人によって、「2,6」「4,4」・・・と様々出てくる。
開いた質問において、回答者が要求されることは、

・四則演算(というスキル)を習得しているのは前提として
・与えられたゴール(=8)に対して、自分なりの組み合わせを考えなさい
 (なぜその組み合わせなのかの理由も付けて)

開いた質問においては、回答者は「創意工夫+判断作業」を行い、
個性が求められる。

これは日ごろの業務で言えば、
やることのミッション・ゴールは決められていて、
そこにどういう方法でたどり着くか、
効率・効果性も合わせて実行する仕事ではないでしょうか。

<さらに開いた質問・業務>
さて、●+●=○を、さらに開いた質問と呼びましょう。

この場合、回答者は、右辺(=○:ミッション・ゴール、たどり着く先)
も自分で設定しなさい、
そして、それを実現するための左辺(●+●:プロセス、実現方法)も
自分で考えて、実行しなさいという形です。

さらに開いた質問において、回答者は
「課題発見+目的設定+創造+判断作業」を行い、
より強い個性+やりきる力が求められます。

これは日ごろの業務では、
過去のやり方に安穏とせず、新しいアプローチで、
新しい商品・サービスを生み出し、
新しい顧客をつくりだす仕事だといえます。

********

自立と自律の区別は、世の中で明確にされているわけではありませんが、
私は次のように解釈しています。

「自立」は、
・self-standing(自力で立つことのできる)
・他に依存しないで、自分でやっていける
・主に経済的自立、技能的自立をいう

他方、「自律」は、
・self-directing(自分で方向付けできる)
 自力で立った後は、自分が決める方向に進んでいけるということ

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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