非営利からのパラダイムシフト(前)

2008.09.17

経営・マネジメント

非営利からのパラダイムシフト(前)

安澤 直樹

 まずは、海外で活躍する日本人アスリートの話から始めましょう。誰のことがわかりますか?

 彼は、某国でその国の国技といわれるスポーツで頂点を極めました。外国人トップアスリートの多くは、その国の国籍を取得して某国に根付いて暮らしていますが、彼は某国の国籍を取得するつもりはないようです(*)。某国では、それが軋轢を生むこともあります。

 彼は、某国でのイベントよりも祖国でのイベントを大切にしました。しかし、そのことが某国で大問題になり処分を受けることとなりました。さすがにこの一件では、彼も精神的にまいってしまったようです。

 一時は、再起には時間が掛かるとの憶測もありましたが、日本に帰ってきて少し静養すると、あっさり元の元気な彼に戻りました。現在では、某国で再び大活躍しています。

 そういえば先日、彼や某国の有名アスリートたちによる日本巡業が初めて行われました。日本で自分の雄姿が披露できる嬉しさもあったのでしょうか、彼は終始笑顔で、あんな楽しそうな彼の笑顔を見たのは初めてのような気がします。率先して、二国間の橋渡し役を務めていました。

 さて、皆さんはこの人物が誰かわかりますか?

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 「誠に、申し訳ありません」

 ここまでの記述に間違いがありましたので、少し訂正させていただきます。彼の祖国は日本ではなくモンゴルでした。そして、彼が活躍している某国とは日本のことです。

 モンゴル人にはどのように映っているか疑似体験してもらいたかったので、少し意地悪な記述をしてみました。

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 昨年7月、モンゴル人横綱朝青龍はケガを理由に夏巡業の不参加を届け出ながらも、モンゴルでサッカーのチャリティーイベントに参加していたことが発覚。

 日本相撲協会は朝青龍に2場所出場停止、減俸30%4ヶ月、九州場所千秋楽までの謹慎の処分を下しました。日本のマスコミは彼にヒール(悪役)のレッテルを貼り低俗な報道を続けました。

 マスコミが大々的に取り上げたのはモンゴルでも同様です。相撲協会の処分に抗議する市民がモンゴルの日本大使館でデモを行いました。日本ではヒールですが、モンゴルでは違うようです。

 皆さんは、このモンゴル人の反応をどう思いますか?

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 この騒動の直後ある相撲関係者が、「朝青龍は帰化すればいい」といった趣旨の発言をしていました。

 私にはこの発言の真意を理解できませんでした。ただ漠然とですが、組織の闇に隠れた不気味さを感じました。

 私は、一般企業にたとえれば、成績優秀な一社員である朝青龍個人の行状の問題よりも、癖はあるけど成績優秀な社員をマネジメントできない組織のほうが問題が大きいと思いました。

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