大相撲界の報酬制度もまた、経済合理性の観点から見ると、 実に巧妙に練り上げられたものだと言えます。
現在の現役力士に対する報酬制度の特徴は、
「一定以上の実力を持つ力士が上位の座を目指すこと、
そして長く現役で活躍することを動機付けるもの」
です。
ここで、
「一定以上の実力」
と言うのは具体的には
「10両以上」
のランクのことです。
力士は、10両以上になると
「関取」
と言われるようになり、
給料がもらえるようになります。
逆に言えば、10両未満の力士は給料が出ません。
10両未満のランクは、
総称して「幕下」と呼ばれています。
幕下ランクにいる力士は、通称
「取的」
と言われますが、正確には
「力士養成員」
という名称の立場です。
彼らは、所属する相撲部屋の
住み込み賄い人
として、相撲部屋の炊事や掃除・洗濯、
10両以上の力士の世話などをして働きつつ、
一人前の力士になるべく日々稽古に励んでいるのです。
給料は出ませんが、
部屋住み込み、食事付きですから生活には困りません。
年6回開催される本場所ごとに、
彼らにもランクに応じて10万円前後の手当てがでますが、
2ヶ月に1回で10万円程度ですから「お小遣い」ですね。
要するに、幕下力士は
「見習い修行中」
なのです。花街で言えば、
舞妓さん
と同じ立場にあるわけです。
さて、10両以上になった力士がもらえる報酬は、
2段階構造になっています。
報酬のベースとなるのが、いわゆる「月給」。
これは、
・横綱:282万円
・大関:235万円
・関脇・小結:131万円
といったようにランクに応じて決まっています。
年収だと、横綱で3400万円程度ですね。
ランクに応じた固定報酬です。
もうひとつは「力士褒賞金」。
これは、上記月給に上乗せされる成果報酬となります。
本場所ごとに支払われるので年6回の受取ですね。
「力士褒賞金」は、
・勝ち越しの数・・・0.5円(一つにつき)
・金星(平幕力士が横綱に勝った場合)の数・・・10円
・全勝した場合・・・50円
など、本場所での「成果」に応じて与えられます。
(実際の褒賞金は、この金額を4,000倍した額)
興味深いのは、
10両以上に止まっている限り、
力士褒賞金はどんどん積みあがっていくだけで
減額されることがない点です。
ある場所で負け越したからといって、
褒賞金は増えないにせよ、減ることはありません。
また、たとえ幕下に陥落しても、
積み上げた褒賞金はキープされますが、
再び10両以上に上がらない限り、褒賞金はもらえません。
したがって、長く十両以上にとどまり、
現役を続けているほどもらえる褒賞金は多くなっていきます。
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大相撲の経済学
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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。