育成を考えるとき、上司はその対象であるメンバー本人にのみ焦点を当ててしまいがちで、ほとんどの上司の盲点となっているのが「育てる者としての自己を知る」ということ。 どんな育てられ方がそのメンバーに適しているのか、どんな指導のされ方を望んでいるか、はそれぞれでありポリシーを押し付けてはいけないということです。
言うまでもなくメンバーの成長には、上司の言動が大きく影響しており、上司というものはその自覚のもとに部下の成長について当事者として考え、実行せねばなりません。もちろん上司一人の言動のみがその成長を決めてしまうはずはないのですが、本人の適性や意向を把握しやすい立場にいることに加え、どんな仕事や役割を与えるか、メンバーを取り囲む仕事の環境をどう整えるか、といったことについては上司に権限がある訳ですから、大きな責任を負うのは当然です。
育成を考えるとき、上司は大体においてその対象であるメンバー本人にのみ焦点を当ててしまいがちで、ほとんどの上司の盲点となっているのが「育てる者としての自己を知る」ということ。つまり、上司が育成者としてメンバーと向き合うとき、メンバーの適性や与えるべき仕事や学ぶべきことについてしっかり考えてあげるのも大切なのですが、自分のクセや思い込み(信念・持論)を見つめることも大切で、忘れてはならない視点です。
どんな上司であれ、それぞれが育ってきた環境や経験から「人はどのようにすれば(どのような時に)、最も成長するのか」というポリシーみたいなものを持っています。自分が最も成長した頃の上司や環境、または反面教師となった上司や辛かった環境から、成長にはこういう方法や状況がいいのだという考え方が各々に自然に出来ていて、それを無意識に実行しようとします。これが「育てる者としての自己」で、それ自身悪いものではないのですが、実行して効果的かどうか、合うか合わないかは相手(メンバー)によるということを認識しなければなりません。
一つ、育成者としてのタイプを分類するフレームを提示したいと思います。
①「放任」と「関与」、どちらが人は成長すると思うか。
『本人の意思を尊重して、細かいことには目をつむり、極力任せたほうが良い』という考え方(放任)と、『しっかりと目を光らせ、細かいことでも丁寧に指示・指導を施すべきである』という考え方(関与)、どちらが皆さんは人の成長に寄与すると考えるでしょうか。
(「人による」のは当然。皆さんが自然に抱く想いを、どちらかで回答して下さい。)
②「挑戦」と「反復」、どちらが人は成長すると思うか。
『新しいことや難しい課題にどんどん取り組ませることが、精神的にも実務的にも成長につながる』という考え方(挑戦)と、『目の前のことに集中し、それを繰り返すことによって基礎を習得できるし、そこからの気づきもある』という考え方(反復)です。
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2009.05.13
2009.05.19
NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。