【 影響力の武器 】

2007.08.08

ライフ・ソーシャル

【 影響力の武器 】

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

もう一度読み返したい本: 【 影響力の武器 】 (著)ロバート・B・チャルディーニ

「何か決定を下すとき、私たちは利用可能な関連情報をすべて利用するわけではなく、
全体を代表するほんの一部の情報だけを使う。説得のプロはそれを利用し、
相手に影響力を与える引き金を忍ばせ、成功率を高めている。」

本書では、セールス、広告、募金活動などの事例を挙げ、相手から承諾を引き出す戦術を紹介。
その戦術を6つのカテゴリーに分類し、人間の行動心理学の原則を基に解説した書籍です。

その6つのカテゴリーを要約すると、

返報性 (reciprocation)
親切や贈り物、招待などを受けると、そうした恩恵を与えてくれた人に対して将来お返しをせずには
いられなくなる気持ちを利用するもの。

例えば、無料試供品を配布する販売推進員は、表向きは製品の存在を知ってもらいたいという振りをしているが、実は、贈り物につきものの報恩の義務を利用して買わせようとしている。
これをさらに進んだテクニックとして、「拒否したら譲歩」法という、別名「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」が
ある。これは、まず確実に拒否するような大きな要求を出し、それを拒否した後、それよりも小さな元々受け入れて欲しいと思っていた本当の要望を出すというもの。要は、最初の要望が拒否されてその要望を引き下げることが譲歩に見られるため、相手がその譲歩に返報しなければならないと感じる圧力に依存しようというやり方。

一貫性 (consistency)
自分が既にしたことと一貫していたい(そして一貫していると見てもらいたい)という気持ちを利用するもの。
人はひとたび決定を下したり、ある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように、個人的にも
対人的にも心理的圧力がかかる。

これを利用した販売戦略として、クリスマスプレゼントの例がある。
ある玩具メーカーはクリスマスの前から、ある特別なおもちゃのコマーシャルをどんどん流し始め、当然子供たちはそれが欲しくなる。そこで両親にクリスマスプレゼントとして買ってもらう約束を取り付ける。しかし、玩具メーカーはクリスマス前にはそのおもちゃを少ししか卸さない。そして大半の親はそのおもちゃが売切れてしまったことを知り、他の類似したおもちゃを代わりにクリスマスプレゼントとして買わざるを得ない。もちろんメーカーは代替品を十分に卸しておく。
そしてクリスマスが終わると玩具メーカーは再度そのおもちゃのCMをどんどん流す。子供たちは前以上に
そのおもちゃが欲しくなり「買ってくれるって約束したじゃないか」と親に訴え、たいていの大人たちは自分の言葉を裏切りたくないから、その玩具を買い与えてしまう。結果、玩具メーカーは、おもちゃを1つ余計に売ることに成功する。

次のページ社会的証明

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