人事・総務部門は、どこまで法令順守を徹底すればいいのですか?という問いに、さらに問いを投げかけてみると…。
内部統制1年目の2009年ですが、2006年の会社法の改正からすでに「内部統制体制」の構築が義務付けられていました。当時は、基本的に大手企業に要求されているという監査法人やコンサルティング会社からの説明にしたがって、中小企業は問題ないと考えていたところも少なくはなかったように思います。
コンプライアンスが大手企業だけのもの?という疑問はありながらも、取締役会設置会社への移行がクローズアップされていて、なかなかガバナンスを効かせるという点には注目されずにきたのではないかと感じています。
「法令順守」ですが、長年会社経営に携わっていたり、人事・総務部門を長年管理されている方々からすれば、年々コンプライアンスが強化されていっても事業運営にはあまり影響がない…どころか邪魔になるから対応は後回しというのが普通かもしれません。
改正男女雇用機会均等法や育児介護休業法などの法令が整備され、また労働安全衛生法については労働者側に有利(?)な判例が揃ってきている中で、また、大手企業が取引先選定の際にコンプライアンス対応を取引条件に入れざるを得ない状況にあって、中小企業と言えども、そろそろ発想の転換が必要になっていくのではないかと思います。
タイトルにあります「労働基準法」が守れない。というものですが、もう少し細かく言えば、「労働基準法」を100%遵守していては会社が運営できないし、時間外手当で会社が潰れてしまうという話を伺うことが多いのです。もっと現場寄りであれば、ただ会社にいるだけの社員になんで時間外手当を払わなければならないんだ!!ということでもあります。
さて、時間外手当と会社への残留のバランスがテーマになっている企業様では、基本的に以下の2つの背景があるようです。
1.会社に長くいることが会社への愛社精神の現れだという時期があった(又は、今もある)
2.上司から部下へ「早く帰れ」という一言を言える方が少ない(又はいない)
そして、この愛社精神と労働環境管理不足の土壌を持つ企業様では、比較的多くが、業績不振の場合には「解雇によるリストラ」という雰囲気が幅を利かせることになるようです(当社がお会いしている数少ない企業でのお話しですが…)。
働きやすさの追求は先のことだとしても、働きにくさは排除していかないと、賃金に関する条件変更や解雇などの最終手段を行使しようとした際には、社員からの協力が得られずに紛糾することも多くなります。
次のページ仕方ないよねって思えるものなのでしょうか
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内部統制と管理部門
2009.06.23
2009.06.17