ブログを印刷した新聞、読みたいですか?

2009.06.28

営業・マーケティング

ブログを印刷した新聞、読みたいですか?

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

人気ブログを集めて印刷して無料配布する。ブログ新聞がシカゴで創刊された。「何でもオンライン化」の流れとは、真逆の発想がおもしろい。このブログ新聞、果たして成功するだろうか?

めざせ、年商3000億円!

ブログ新聞「The Printed Blog」は、ネット上のブログを集めて編集し、新聞形式にレイアウトした上で(実際は雑誌に近いようだが)印刷する。でき上がったブログ新聞は駅など人の集まる場所で無料で配布するそうだ。

収益源は広告である。「広告主は、1000部につき20ドルから広告スペースが買える(日経産業新聞2009年6月8日9面)」という。そして「数年で全米に約2000のロケーションを展開し、年商30億ドルを目指す計画だ(前掲紙)」。30億ドルといえば、ざっと3000億円である。

ちなみに昨年11月時点で朝日新聞の半期決算は1715億円だったようだ(→ http://www.j-cast.com/2008/11/21030835.html)。だから、このThe Printed Blogは年間でざっと朝日新聞並みの売上を目指していることになる。

ブログの記事を紙で読みたいか

実際にどんな記事、編集になっているのかと興味津々でニューヨーク版をダウンロードしてみた(→ http://theprintedblog.com/issues.php)。みた感じは新聞というよりも、雑誌に近い。きれいなカラー版で、写真が目を引くレイアウトになっている。

二本ほど記事を流し読みしてみたけれど、とりあえずおもしろいとは思えなかった。ニュースというより論考みたいな感じだ。ただ、掲載されている写真はいい。これを眺めているだけでもたのしい。これが無料で手に入る。筆者には記事のおもしろさは理解できなかったが、そうじゃない人がいることは想像できる。

とはいえ同じ内容の記事がすでにどこかのブログにアップされているわけだ。それを紙に印刷したものを読みたいかどうかがポイントではないか。果たして読みたいだろうか。

読みたいブログは確かにある

意外に、読みたいと思う人は多いのではないだろうか。モニター上の文字と紙にきっちりと印刷された文字を比べるなら、個人的には印刷物の方がはるかに読みやすい。

もちろん、ここは個人差が出るところだ。筆者は数えで50歳になる。老眼である。そのうえド近眼のド乱視だ。液晶画面で小さな字を読むのはかなりつらい。Macユーザー故に、比較的キレイで読みやすいフォントではあるが、それでも文字サイズが小さくなるときつい。

読むなら活字、デザインするなら写植、で育った世代でもある。行頭・行末処理に始まり行間、字間への配慮などリーダビリティへのこだわりは結構ある。となればそりゃ新聞とWebを比べれば、はるかに新聞の方が読みやすいのは当たり前だ。

次のページ問題はそれがビジネスとして成り立つのかどうか

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