最終仕入原価法は選択肢か:国際会計基準の棚卸資産

2009.08.31

経営・マネジメント

最終仕入原価法は選択肢か:国際会計基準の棚卸資産

野口 由美子

棚卸資産の評価については日本の会計基準も改正され、国際会計基準との差異がなくなりつつあります。一方、中小企業向け国際会計基準では意外な選択肢が明示されているのです。

本サイトへの投稿記事は
aegifの国際会計基準専門ブログ IFRS of the day(http://aegif.typepad.jp/ifrs/)より引用しております。

棚卸資産の評価に関しては、採用する方法によっては金額が大きく変わってしまったり、在庫管理の業務を大幅に変更しなくてはならなくなったり、企業への影響が大きいトピックです。

日本の会計基準では棚卸資産の評価について改正を行なって、国際会計基準との差異を解消しようとしています。
例えば、従来は原価法と低価法の両方が認められていました。
原価法は基本的に評価損等を計上する必要がなかったのですが、
現在は原価法を適用していても収益性の低下が認められれば評価損を計上しなくてはなりません。
国際会計基準では低価法となっています。

また、評価方法も先入先出法や総平均法などいくつか選択肢が認められていますが、後入先出法の選択ができなくなります。これは国際会計基準で後入先出法は認められていないことに対応するものです。
その他にも国際会計基準では売価還元法や標準原価の使用について要件が定められていて、求められている評価方法との差異が重要でなければ簡便法として採用できることになっています。

このように国際会計基準では棚卸資産の評価についてはあまり選択肢を多く認めない考え方にたっています。選択肢としてあっても日本の会計基準のように企業の裁量で自由に選ぶというよりは、要件が定められていてクリアできる場合にのみ選択できるような厳しいものになっています。

それでは中小企業向け国際会計基準ではどのような取り扱いになっているのでしょうか。

基本的には簡便的な処理を認める考え方なので、
まず、先に触れました売価還元法や標準原価の使用について自由に選択できます。
その他に最終仕入原価法も採用することができます。

最終仕入原価法というと、日本では税法で認められていることもあり中小企業では採用されている場合も多い評価方法です。
ただ、最後に仕入れた原価が期中に仕入れた原価より高い場合、棚卸資産が水増しされることにつながるため会計上合理的でないとされています。そのようなことから、最終仕入原価法は税法上はともかく、会計上は採用しづらい方法になっています。

中小企業向け国際会計基準では、棚卸資産の評価について選択肢が広がることになるので、日本での国際会計基準対応にあたっては大いに参考にできるのではないかと考えられます。

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