「相手のことを思って言っているのになあ…」と、なかなか相手に自分の気持ちが伝わらなくて困っている方。 思考を変えてみませんか? まずは「自分のため」と。
1.先生が教え子に、親が子どもに向かって言います。
「あなたのために言ってるのよ」
2.先輩が後輩に伝えます。
「お前のためを思って話すんだ」
3.経営コンサルタントが顧問先に伝えます。
「あなたの会社のためですよ」
それぞれの場合について考えてみます。
1.名誉ばかりを考えている親が子ども向かって発する、怒ったような「あなたのために言ってるのよ!」という言葉ほど、子どもがカチンとくるものはないでしょう。
一方で、涙ながらにゆっくりと話す「あなたのために言ってるのよ…」という言葉は、親心が伝わってきます。
2.出世ばかりを考えている上司が、部下に向かって「お前のためを思って話すんだ」と伝えると、部下は「従わない部下をもって自分の評価が下がるのが嫌なんでしょ」とすぐ悟るでしょう。
一方で、普段から叱咤激励してくれる先輩からの、目を見ながら発せられた「お前のためを思って話すんだ」という言葉ほど、「自分がしっかりしなきゃ…」と思い知らされることはありません。
3.初めてコンサルタントと顔を合わせ、いろいろ社内を見てまわってもらい、「いけません、あなたの会社のために言いますが…」という言葉をいきなり発せられると、「お前なんかに言われたくないわい。1回見ただけでで何がわかる!」と反論したくなります。
一方で、普段は会社のことを「頑張ってますね~」などと話す、褒め上手なコンサルタントが、あるとき突然「あなたの会社のために言いますが…」と切り出されると、じっくりと聞きたいと思います。
「温かい」のか、「恩着せがましい」のか。
二者の間での関係性によって、大きく変わりますね「あなたのため」という言葉は。
これは、「あなた(聞き手)のため」という言葉が、どれだけ「わたし(話し手)のため」に含まれているか、によって、温度が変わるんだと思います。
結論は意外かもしれませんが、「わたし(話し手)のため」という気持ちが自然にもてる人ほど、「あなた(聞き手)のため」という言葉が相手に伝わるものなんでしょう。
「あなた(聞き手)のため」と「わたし(話し手)のため」が分離した人の発する「あなたのため」と言う言葉は、よそよそしいものです。
表面上は真剣に「あなたのためなのに!」と話しているようで、心の深層では自分のことしか考えていない。そういう人、いませんか?
そして、不幸なことに、「こんなに相手のことを考えている“のに”…」という気持ちがニョキっとでてきて、ますます相手に伝わらなくなる人もいらっしゃいませんか?
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