『マーケティング・メトリクス』

2010.01.28

ライフ・ソーシャル

『マーケティング・メトリクス』

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

『マーケティング・メトリクス』 は、マーケティング活動を ‘定量的’ に、すなわち、‘数字’で 評価・検証するために有効な 様々な指標(●●率みたいなもの) を解説した本です。

いわゆる

「財務諸表データ」
(損益計算書、貸借対照表など)

を使った経営分析の本は、
多数出版されていますよね。

本書は、こうした経営分析の

「マーケティング活動特化版」

といった内容になるかと思います。

マーケティング活動は、
収益を得るためのメイン業務ですから、
当然ながら、その最終成果となる収益に
関わる指標が必要です。

例えば、次のような指標です。

・事業資産営業利益率
・粗利益率
・売上販管費率

ただし、経営分析では主に、

ミクロな企業活動

にフォーカスするのに対し、
マーケティングメトリクスでは、

対象市場の規模やシェア

といった、マクロ・社外的要素も
分析対象に含めます。

具体的には、以下のような指標も
算出し、活用することになります。

・市場成長率
・市場集中度
・市場シェア

本書の著者、田村氏は、

“メトリクスとは数量化された
 判断指標のことである”

と説明されていますが、

「判断指標」

というのは、
重要な意味を含んだ良い表現ですね。

というのも、メトリクスは、

・対象市場を決めたり、
・商品のポートフォリオを考えたり、
・広告出稿先メディアを絞り込む

といった判断のために役立つ
客観的な数値として使えるからです。
(客観的であるが故に社内説得もしやすいわけで)

また、田村氏は、

“どのようなメトリクスを使えるかによって、
 マーケターの能力は大きく変る”

と書いています。

マーケティング活動は、
きわめて複雑で多様な形を
取って展開されています。

したがって、
マーケティング活動全体を
常時把握することは困難です。

ネット(デジタル)革命以降、
その複雑さ、多様さは増大しました。

ですから、
マーケティング担当者がやるべきことは、
マーケティング活動の良し悪しを
判断するために使える指標(→「KPI」)は
何かを見極め、その指標を活用することです。

ここで、どんな指標を活用できるかによって、
コントロールできるマーケティング活動も
決まってきますから、まさにマーケターの能力
にも直結するというわけです。

本書は、財務諸表や経営分析の知識が
若干ないと難しい内容も含んでいますが、
マーケティング担当者としては、
ぜひ繰り返し読み、「知識」としてではなく、

「使える」レベル

を目指して欲しいと思います。

『メディアマーケティング進化論』
(田村正紀著、日本経済新聞出版社)
→アマゾンはこちらから

本書の構成(「章」レベル)

序章:マーケティング・メトリクスがなぜ必要なのか
1章:魅力的な対象市場を選ぶ
2章:市場シェアを確保する
3章:売上の収益性を高める
4章:顧客創造で売上を積み上げる
5章:バリュー顧客を狙う
6章:ブランド化で競争力を持続させる
7章:広告で市場普及を加速する
8章:強い販路を構築する
9章:営業力を強化する
終章:組織型ダッシュボード

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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