ウォルマートが、小売業の核である仕入れに、調達代行会社を起用しました。その狙い、メリットにつき解説します。
この調達代行会社とは、弊社
ではありません。残念ながら...
米国ウォルマートが、グローバル調達の機構改革を発表しました。材カテゴリ毎にグローバル・マーチャンダイジング・センター(GMC)を設置し、グローバル集中購買を推し進めるようです。(出所:同社プレスリリース)
そして、この機構改革のもう一つの目玉として、香港の調達代行会社の起用が発表され、初年度だけでも最大で約20億ドル相当の調達をこの調達代行会社に任せる予定のようです。
「そんなに驚く話ではない。日本の百貨店だって、売り場をアパレル会社に任せてきたじゃないか。メーカだって、多くの調達を総合商社に任せている。」
果たして、こうした反論とウォルマートの取組みを同列で論じて良いのでしょうか?
ウォルマートは今回の調達代行会社の起用について、sourcing arrangement(調達委託)と表現していますので、弊社の推測では、どの品目を幾つ仕入れるかといったmarchandising(マーチャンダイジング、商品計画、調達・購買での仕様)はウォルマートが決め、それに基づくモノを調達代行会社が調達するという役割分担と思われます。
日本の百貨店が売り場を取引先に任せるときには、マーチャンダイジングも含めて丸投げです。メーカが商社に海外調達を任せる時には、良いものをもってこいという待ちの姿勢です。
日本では、調達代行という考え方、業態がまだあまり普及していないので、この辺りの違いがピンと来ないかもしれませんが、ウォルマートとこの調達代行会社の役割分担が、弊社が想定している通りであれば、コントロール、リスクの取り方が、日本の取引先任せとは大きく異なり、仕入れのノウハウは依然として自社にしっかりと溜まるようになっています。
日本の商社のビジネスモデルは、殆どが販売代行モデルです。販売代行モデルの価値観、力の入れ方、文化は、やはり販売重視で、調達代行モデルのそれらとは大きく異なります。
ウォルマートは、この調達代行会社にウォルマートの調達だけを行う子会社を作らせ、100%の株式買取権を有しています。弊社は、このウォルマートの調達・購買機能の独立会社化は、正しい方向性だと考えています。それは、調達・購買業務の管理の方向性は、調達・購買業務のプロフェッショナルを育て、彼女/彼らを正しくマネジメントしていく事であり、調達・購買機能の独立会社化は、その動きを加速させるからです。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます