SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で友人などと一緒に簡単なゲームをプレイする「ソーシャルゲーム」が流行っている。SNS上に形成されているコミュニティを活用したゲームなのだが、既存のオンラインゲームのビジネスモデルとの違いはどこにあるのだろうか。[野島美保,Business Media 誠]
フック・リテンション・マネタイズ理論
一口にコミュニティの効果といっても、集客に効くのか、定着に効くのか、あるいは課金に効くのか、さまざまである。コミュニティは活性化しさえすればよいのではなく、「それぞれのコミュニティ効果を把握しながら、自社のビジネスにプラスになるように組み込む」という姿勢がゲーム会社としては必要だろう。
そこで、インターネットにおけるゲームビジネスについて、簡略的に3つのステップのフレームワークを作ってみた。集客のもとになる「フック」、継続利用を促す「リテンション」、課金をする「マネタイズ」のフェーズである。フックだけ秀でていたとしても、リテンションやマネタイズのステップを踏まないと、ビジネスとしては成り立たない。
フック・リテンション・マネタイズのモデルをいかに確立し、コンテンツやコミュニティ施策でいかに肉付けしていくか。コンテンツのジャンルを宇宙ものにするべきか農園ものにするべきかを決める前に、こうした基本となるビジネスモデルがあるべきである。
下図は、フック・リテンション・マネタイズの各局面において有効と思われるコミュニティ効果をまとめたものだ。コミュニティはフックにもリテンションにもなるし、マネタイズにも効いてくる。後の回で詳しい解説をする予定だが、このフレームワークによると、ソーシャルゲームは「強いフック」「比較的弱いリテンション」「多様な可能性のあるマネタイズ」が特徴であると分析できる。
フックとしてのコミュニティ
集客時に効いてくるコミュニティ効果に、信頼性や情報の付与がある。ユーザーブログを見たり、友人と会話したりすることで、使ってみるまで内容が分からないコンテンツに対する不安が払拭され、ユーザー視点で信頼性のある情報を得ることでできるということがある。もちろん、これはネット通販などあらゆる所で活用されている効果である。
また、もう1つのコミュニティ効果として、利用者が友人を連れてくる招待制の活発化が挙げられる。「一緒にプレイする方が楽しい」というゲーム特有の現象だろう。友人を招待した利用者に対してゲームクーポンなどで報いることはオンラインゲームでも行われてきた。
コミュニティ効果を十分に活用するため、多くのソーシャルゲームでは「招待」ボタンが付いているが、招待制はほとんどのゲームに搭載されており、それだけで差別化することは難しい。SNS内にゲームアプリが増えるに従い、客取り合戦になりつつある。
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ソーシャルゲームビジネスモデル
2010.03.15
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