次世代を担う子供たちが大人になり、社会変化の狭間を生き抜くには、それなりの「体力」が必要だ。しかし今、子供たちの体力は…、
「基礎学力」「体力」「心力」の3つが、子供育成の3本柱である。「基礎学力」があるかないかで、仕事の選択肢の幅は大きく異なるのは周知の通りである。しかし、現社会において終身雇用が崩れ、ライフスタイルが多様化するなかで、単なる学力主義では到底通用しないのは、明白なことだろう。
それでは子供の体力はいかがだろうか。【子どもの体力の現状】によれば、
子どもの体力・運動能力は、昭和60年ごろから現在まで低下傾向が続いている。現在の子供の結果を、その親の世代である30年前と比較すると、ほとんどのテスト項目において、子どもの世代が親の世代を下まわっている。一方、身長、体重など子どもの体格についても同様に比較すると、逆に親の世代を上回っている。
確かに、ひょろ長い子供をよく見かけるようになった。今こそ、学力中心でないなんらかの教育が、必要な時ではないだろうか。
子供の体力をつけるには様々な方法があるが、自然での体験がなによりだと考える。だから私は、娘が小学校にあがったのを機に、一家で自然を求めて田舎に移住した。今のところ勘違いでなければ、子供たちは自然の中で、伸び伸びと育っているようである。テレビゲームが減り、外で遊ぶ時間が増えたことは、とても素晴らしいことだ。
移住までは…と思っても、多くの親が「子供に自然を体験させたい」と願っているのではないだろうか。しかし残念ながら、この国の自然に対する考え方は、あまり褒められたものではない。それが、大都市の一極集中化を招き、結果、子供が手軽に自然と接することを、年々難しくさせている。
【青少年の自然体験の実態】によると、驚くことに自然体験をしたことがない子供が多くいる。ほんのちょっと前までは、どこにでも里山的な自然があり、そこは子供たちの恰好のたまり場だったのに。10年前に比べ、自然体験をしたことがない子供の割合が、増えていることはやはり寂しい。
自然の中で、秘密基地づくり、ザリガニ釣り、草野球、ドロケイ(ケイドロ)、ケンケンパ…で盛り上がった。年上も年下も関係なくごっちゃに。そしてその中で、上下関係やケガの危険回避を、身を持って学んだ。
自然の中で子供が育つと、道徳観や正義感が生まれることもおもしろい。確かに田舎の子供は、都会の子供に比べてよく挨拶をしてくれる。ついこの間も下校途中の小学生から挨拶のシャワーを浴びた。ほとんどの子供が初対面であったが。実に気持ちの良い挨拶であった。
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2015.07.17
2009.10.31
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。