近頃、人気急上昇の虫がいる。ネット内では、ついに『ムラサキシャチホコ』の時代到来であると騒がれている。
何はともあれ・・・ぜひ、ご覧いただきたい。ムラサキシャチホコUropyia meticulodina (Oberthür, 1884). 科:シャチホコガ科(Notodontidae)。ありえない蛾なのである。その擬態は、お見事というしかない。
参考=【人気急上昇】ついに時代が来た!!ムラサキシャチホコの画像いろいろ【話題沸騰】
http://matome.naver.jp/odai/2126811693776937501
参考=なんとなーく昆虫撮影「神の御業/ムラサキシャチホコ」
http://kawakita-insect.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-adfb.html
ムラサキシャチホコの羽は、枯れ葉のようにクルンとカールしているように見える。しかし、これは、平面上に立体的に鱗粉の濃淡で描かれているだけ。葉の葉脈とか影のボカシのテクニックとか、すべてが完璧な擬態。要するに、トリックアートなのである。
なぜ、ここまで手の込んだ完璧な擬態ができるのか・・・。
何年の月日を費やせば、その模様が、その羽に浮かび出てくるのか・・・。
そもそも、鳥や人間の第三者の視点で、その模様を、その羽に描かし出すことの力は、どこから来ているのか・・・。
その微妙な濃淡を羽に描き出す指示は、誰が、どの視点でやってのけたのか・・・。
単純な進化論では出ない到達できない結果が、「ムラサキシャチホコ」の擬態にはある。
蛾の多くは、擬態するものが多い。その多くは、単純な擬態でも、ちゃんと生存競争を生き残っている。つまり、「ムラサキシャチホコ」の過剰な擬態は、単純な自然淘汰という概念からも説明するのは難しい。
地球という惑星自体が、奇跡に近い超低確率で偶然うまくいった賜物である。そして、私達人間は、偶然うまくいった惑星で偶然進化した知的動物である。それは、言い換えると「偶然でここまでうまくいくものか?」という自問自答を繰り返すことが、人間らしさでもあるわけである。そこに宗教やインテリジェント・デザイン(「知的設計」論、intelligent design)=知性ある設計者によって生命や宇宙の精妙なシステムが設計されたとする説の余地が生まれてくる。
そう考えると・・・「ムラサキシャチホコ」や「ツノゼミ」のような奇跡の擬態を体現する虫たちの密かなブームと阿修羅像に女性数が惹かれ、神社の特集が雑誌で組まれる昨今の状況は、別々の話のようで根っこは近い。そして、一方で、宗教法人の広告が盛んになる背景とも、深く関わっている気がする。
人間が高確率なビジネスを追いかけるほどに、「虫」達の巣くう世の中になるのである。
生き物から学ぶ
2010.03.10
2009.03.05
2009.01.19
2008.12.15
2008.12.07
2008.11.03
2008.08.04
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。