転職でも就職でも求人の告知に「何名募集」とは明示されていないことはよくあります。またあっても「若干名」などと書かれている場合、どう読み取れば良いのでしょうか。「戦略思考」を持って下さい、応募側はもちろんですが、採用側にもメリットがあります。
採用のナゾ シリーズ
不採用の理由はお答えできない理由
http://www.insightnow.jp/article/4073
就職採用都市伝説の検証
http://www.insightnow.jp/article/6068
新聞の投書欄に就職活動中の学生から「若干名の募集とは何人か明示せよ、そうでないと無駄足に終わり学生の苦労が過剰になるだけだ」というような趣旨のものを見かけました。
私が教えている大学院でもそうした質問を受けることは少なくありません。実際どうなのでしょう。何を企業は考えているのでしょうか。
また募集する企業は、そのような学生等応募者の反応に、どう応えるべきでしょうか。
わからない時は辞書を開きましょう。著作権に引っかからないよう、私がオリジナルで解説しますと、「若干名」ってんだから「干」という漢字を「一」と「十」に分け、一のごとく(若く)、十のごとく、と見て、「少し」の量を指す意味のようです。
要するに「ちょっと」だから普通は「数人」が若干名ということになるでしょう。実際採用の立場からみますとこんなことが言えます。
「0から10人未満」
これが若干名です。ゆえに「若干名」と書いてあって採用ゼロは十分あり得ます。逆に10名近くに及ぶことも、少ないですが、無いとは言えません。
ちなみに私が大学の教員選考に採用された際、若干名ではなく「2名」の募集に対し、私は3番目で採用となったという裏話をお聞きしたのは入ってからずいぶん経ってからでした。応募が殺到したので入れていただければ私は3番目だろうが何だろうが全然問題ありません。昔から試験といえば合格点取りさえすれば良い、という戦略的なコドモでしたから。
さて、ということは「若干名とは何ぞ!」と渇望する件の学生の問いには恐らく答えていないのでしょう。どーしましょう。
これが採用のメカニズムなのです。就職の採用は試験ではありません。そこに明確な基準など無いのです。就活に上手く行っていない学生、転職で苦戦する人に多く見られるのはこの「採用=明確な基準」信仰です。働いた経験のある方、勤務時の評価で公平だと思ったこと何回ありますか?上司の評価は100%正しかったですか?
あり得ないんです。そんな明確で、正確で、きっちり人の能力を測れる採用はありません。だから「若干」なんです。
「前例が無い」といって新たなチャレンジを阻害する役人とか、保守的な管理職とか、頭に来ますよね。採用における前例など、全く気にする必要ありません。自分が第一号になれば良いだけです。
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株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。