会社で部下を持つようになると、自分自身が起こした訳ではないトラブルをも責任として負わなければなりません。「上司として」トラブルや、その原因となるトラブルメーカー部下にはどのように臨むべきでしょうか。
大阪府職員が、病気休職中にも関わらずバーを経営し、懲戒処分を受けたというニュースがありました。その上司も戒告処分となったようです。
このケースがそうかはわかりませんが、上司も注意するのに気がねをするコワモテの部下とか、アンタッチャブルな扱いを享受しているヌシのような部下を持ったら(持たされたら)どうしたら良いのでしょう?
自分が部下の時は、上司なんて気まぐれや自分の機嫌次第で好き勝手にイバれて気楽なもんだ、と思っていませんでしたか?私はそう思ってましたんで、ずいぶん上司にとっては扱いづらい部下だったと思います。
しかし実際に上司になりますと、そうそう簡単なものではないことがわかり、ちょっと怖くなったというアナタ。
きわめて正常な神経の持ち主です。
なーんにも感じないような鈍感な方は、一つ「上司能力」に欠けているのではないかと感じます。権力を持つということは恐ろしいことなのです。それが理解できている方は、むしろ上司の適性あり、と言えます。
さてでは実際、扱いづらい部下にどう接すれば良いでしょうか。非常にシンプルです。特別扱いしないこと。これしかありません。
問題児部下も生まれた時から問題児であった訳がありません。歳とともに、だんだんふて腐れ、開き直り、上司をも恫喝出来る快感に目覚め、既得権としての「特別扱い」を得て行ったのです。
そうした負の連鎖、負の遺産をあなたは背負い込むべきではありません。特別扱いが継続すれば、この大阪事件の上司のように、問題児部下を野放しにした責任を当然問われます。部下が不始末を起こせば、当然上司は責任を負います。
こうした問題児部下は、そもそも理不尽な既得権を振りかざすようなまともな神経を持っていない訳ですから、放置すれば上司以外とも問題を起こします。顧客や同僚、さらに他の部門など、ウイルスのようにその負の影響が蔓延していくのです。
あなたは上司として、このウイルスを退治しなければなりません。もちろんあなたの前任者上司はこれを見て見ぬふりなどで野放しにしてきたのでしょう。
そのままあなたも見て見ぬふりが続けられれば、もしかすると無難な上司生活を送れるかも知れません。しかし一旦不始末が起こればその責任をすべて負うという、途方も無いリスクは、やはり放置すべきではありません。
さて「特別扱いしない」とは、どんなことでしょうか。例えば職場のルール、出退勤時間や、レポート、今回のような連続して取得している休職のような「異常事態」をあらためて検証する必要があります。
これを「前例」として触るのをやめてしまうと、唯一最高の問題解決のチャンスを失うことになります。例えば「休職」自体、普通のことではありません。休職が悪い訳では無いにしても、それが何度も継続される、長期に及ぶのであれば、当然その実態を知らなければなりません。難病など、正当な休職と、この事件のような悪質な職務放棄を見分ける必要があります。
問題から目をそむけることなく、決して威張り散らすことも無く、粛々と、当然のこととして、ご自身の責任を果たして下さい。問題児部下については、「そうゆうものだから」ではなく、何が起こっているのかを、自らきちんと把握して下さい。
上司自身も生身の人間です。スーパーマンではありません。出来ないこと、恐いことを無理に行うのではなく、「なすべきこと」を責務として取組んで欲しいと思います。
上司学入門
2013.09.11
2012.04.04
2011.08.27
2010.10.22
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。